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ファイティング・ファミリー (ネタバレ)

※今回の記事は、本作が好きな人は不快になる怖れがあるので、気をつけて!




ファイティング・ファミリー 

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 原題:Fighting with My Family
2019/アメリカ 上映時間108分
監督・製作・脚本:スティーブン・マーチャント
製作:ケビン・ミッシャー、ドウェイン・ジョンソン、ダニー・ガルシア、マイケル・ルイジ
製作総指揮:アンディ・バーマン、ハイラム・ガルシア、ダニエル・バトセック、トレイシー・ジョセフス、デビッド・コッシ、ロードリ・トーマス
撮影:レミ・アデファラシン
美術:ニック・パーマー
衣装:マシュー・プライス
編集:ナンシー・リチャードソン
音楽:ビック・シャーマ
音楽監修:サラ・ブリッジ
出演:フローレンス・ピュー、レナ・ヘディ、ニック・フロスト、ジャック・ロウデン、ビンス・ボーン、ドウェイン・ジョンソン
パンフレット:★★★(820円/高橋ターヤンさん、新井宏さんというコラムの人選が良かった) 
(あらすじ)
イギリス北部でレスリングジムを営むナイト一家。中学1年生の時からリングに立っている18歳のサラヤ(フローレンス・ピュー)は、いつかWWEの試合に出て一家を盛り上げたいと願っていた。兄ザック(ジャック・ロウデン)もプロレス命だが、その一方で愛する彼女と結婚して普通の家庭を持ちたいとも考えている。そんなある日、WWEのトライアウトに参加した2人は、尊敬するスーパースター、ドウェイン・ジョンソンと対面を果たす。兄妹は大喜びでトレーニングに励むが、サラヤだけが次のステージに進み、フロリダへ行くことが決定し……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓

   


  40点


最近は「観たらすぐ感想をアップする」という方針なんですけど、「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」の記事を更新する前に、僕がエイミー役のフローレンス・ピューを初めて認識した作品の感想を書いておかねば…と思ったので、なんとなく2019年に観た本作の記事をアップしておきますね。ドウェイン・ジョンソン(a.k.a.ロック様)が出てるし、前評判がスゲー良いし、プロレスをテーマにした映画は好きなので、観る気マンマンでして。例によってバタバタしてなかなか劇場に足を運べなかったものの、2019年12月26日(木)、所用で娘を新宿まで送る→「スーパーティーチャー 熱血格闘」を観る→職場に行って働いてから、TOHOシネマズ日比谷にて、ちくしょう、ポイントでの無料鑑賞ができなかったので、1900円払って鑑賞いたしました。「気に食わん (`Δ´)」と思ったり。


TOHOシネマズ系列、ポイントでの無料鑑賞に人数制限があるのがマジで嫌い。
1900円のチケット

2番スクリーン、ほぼ満席でしたよ。
2番スクリーン

僕の気持ちを代弁する宮本武蔵を貼っておきますね(「刃牙道」より)。
気に食わん


2012年にイギリスの民放チャンネルで放送されたドキュメンタリー「The Wrestlers : Fighting with My Family」をたまたま観たロック様が映画化を決意して、かつて「妖精ファイター」で共演したスティーブン・マーチャント「ジョジョ・ラビット」でガサ入れをしたり、「グッド・ボーイズ」で少年たちからセックスドールを購入したりしてた男)に監督・脚本を任せたという本作は、実に真っ当なプロレス映画でしてね。イギリスのインディー団体で活動していたプロレスラーのペイジ(本名:サラヤ)がWWEのトライアウトに合格してレッスルマニアで王座を獲得するまでをドラマチックに描いているだけでなく、さらに一緒にトライアウトを受けて不合格だった兄ザックの挫折からの立ち直り要素も入れるという贅沢仕様。ロック様製作の上にWWEが全面協力というだけあって、試合シーンも迫力があるし(日本のプロレス映画のように「ビッグマッチなのにこの会場規模なの?」みたいなガッカリ感がない!)、もうね、スゲー面白かったです、終盤までは。


実際のペイジの動画を貼っておきますね↓




ザックの立ち直りのドラマがグッときたのはもちろんのこと、僕的にはトライアウトに受かった同期の女性たちを「モデル上がりが!川 ゚д゚)、ペッ」とバカにしつつも疎外感を覚えていたペイジが、自分の愚かさに気付いて改心→仲間になっていく過程にも胸を打たれましたねぇ…(泣きながら観た)。主演のフローレンス・ピュー、幼さを感じさせる見た目&佇まいがこの成長譚にピッタリなだけでなく、実際に体を張っているシーンも多くて感心したし、他の役者さんたちも素晴らしかったし…(母親役は「ゲーム・オブ・スローンズ」レナ・ヘディ!)。プロデューサーのケビン・ミッシャーはロック様から元ネタのドキュメンタリーの話を聞いた時、「リトル・ダンサー」を連想したそうですが、本作はプロレス映画として優れているだけでなく、確かにイギリスの労働者階級の若者の成り上がり&挫折ストーリーとしてよく出来ているし、家族愛の映画としても見事だし、本当に褒めるところだらけだったんです、終盤までは。


本編動画↓ フローレンス・ピューの演技は本当に良かったです。




まぁ、何が気に食わなかったのかをハッキリ書くと、最後にペイジがレッスルマニアに出場した際、ただ戦って王座を獲得したように描かれていたこと。そりゃあ「全女ではケツ決めナシの試合がー」とか「リングスではー」とかいろいろありますけど、多くのプロレスファンが「レスリング・ウィズ・シャドウズ」とか「ビヨンド・ザ・マット」とか「レスラー」とかを通過して、海外のプロレスラーの自伝には「打ち合わせの様子」がスムースに描かれていたりする時代なのに、普通に「スポーツとして勝敗を決しました!川°∀°)b ヤッタネ」みたいな展開を見せられて、スゲー萎えたというか ('A`) ゲッソリ そりゃあプロレスは昔から愚かな人間どもに「八百長だなんだ」と嘲笑されてきたから、未だに伏せておきたい部分なんでしょうけど、それはそれで逆にプライドがないのかな」と思う僕もいて。

なんて言うんですかね、僕は「レスリング・ウィズ・シャドウズ」ブレット・ハートが「オレのパンチは相手を傷つけない」と自分のスキルを誇らしげに語るシーンが好き。「レスラー」で選手たちが「ドロップキックでまた場外」「じらしだな」なんて観客をいかに楽しませるかを相談するシーンが好き。ハッキリ言って、プロレスは「プロフェッショナルたちによる素晴らしい格闘エンターテインメント」なんだから、その舞台裏を恥じることなんてないじゃないですか。ペイジが対戦相手のAJ・リーとどうやって試合を組み立てることになったのか、どんなプレッシャーを感じたのか、そもそもWWEはなぜ彼女に王座を獲らせることにしたのか…。一流のエンタメの現場にいる人たちの真剣な仕事風景が観たい…って、この程度のことが未だに贅沢な話なんでしょうか。


「ああん、こうやってじらされてるのね… (´Д`;) ハァハァ」と思わされたシーン(「レスラー」より)。こういうのが観たかったです。
じらしだな


つーか、僕的に「一番好きなプロレス映画」はダーレン・アロノフスキー監督の「レスラー」でして。もともと「ビヨンド・ザ・マット」で描かれていたジェイク・ロバーツのエピソードをベースに作っているんですが、日本公開日にちょうど三沢光晴選手のリング禍が重なって、悲劇的な結末がより衝撃的だったんですけど…。その後、ドキュメンタリー「ジェイク・ザ・スネークの復活」でジェイク・ロバーツが立ち直っていることを知ると、あんなに切なくてプロレスの未来を感じられない物語が「ベストのプロレス映画」だなんて、少し嫌になってきたんですよ。だからこそ、僕はもっとポジティブかつプロレスの表も裏もしっかり描いたプロレス映画が観たかったし、本作はそうなるんじゃないかと期待していたし、何よりも終盤まではスゲー良い感じだっただけに、最後の最後に心底失望した次第。


「ジェイク・ザ・スネークの復活」の予告編↓ 今はもうNetflixで配信してないのね…。




ということで、非常に良いところが多かった分、気に食わない映画でしたよ… (`Δ´;) ウーム まぁ、いろいろと偉そうなことを書いちゃいましたが、所詮は「最近はプロレスを全然観に行ってない男」の駄文だし、何よりもフローレンス・ピューは超魅力的だし、終盤までは非常に面白いのでね、プロレスに興味がない人でも彼女目当てに観ても良いんじゃないかしらん。おしまい。




もうすでに配信がスタートして、ソフトも販売中なのです。



本作のデジタル盤のサントラ。スコア盤もあるみたい。


ダーレン・アロノフスキー監督によるプロレス映画の傑作。この映画を越えてほしいのです…。




2020/07/05 00:00 | 映画(2019)TRACKBACK(0)  TOP

グッド・ボーイズ(ネタバレ)

グッド・ボーイズ


グッド・ボーイズ


原題:Good Boys
2019/アメリカ 上映時間90分

監督・脚本:ジーン・スタプニツキー

製作:エバン・ゴールドバーグ、セス・ローゲン、ジェームズ・ウィーバー

製作総指揮:ネイサン・カヘイン

脚本・製作:リー・アイゼンバーグ
出演:ジェイコブ・トレンブレイ、キース・L・ウィリアムズ、ブレイディ・ヌーン、モリー・ゴードン、リル・レル・ハウリー、ウィル・フォーテ、ミドリ・フランシス、ミリー・デイビス

パンフレット:★★★(820円/長谷川町蔵さんのコラムと音楽解説のページが良かった。写真に落書きがしてある仕様も好き)

(あらすじ)
小学6年生のマックス、ルーカス、ソーの3人組は女子たちから「初キス・パーティ」に誘われるが、キスの仕方が分からないので早速リサーチを開始。オトナの世界に好奇心が止まらない3人だったが、そんな中、マックスの父親の大事なドローンが壊れてしまう事件が発生。父親が仕事から戻る前に、遠く離れた隣町のショッピングモールまで行って新品のドローンを手に入れなければならなくなってしまい……。(以上、映画.comより)


予告編はこんな感じ↓





80点


僕はもう47歳のオッサンですから(苦笑)、「今さら少年たちが主人公の青春コメディを観てもなぁ… ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ」という気持ちがありましてね。正直、それほど観る気はなかったんですけど、愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」「ムービーウォッチメン」のリスナー枠に選ばれたので、とりあえず観ることに決定(その後、今週の「ムービーウォッチメン」の課題映画になった)。6月24日(月)、TOHOシネマズ新宿にて、シネマイレージ会員割引を利用して、「ANNA アナ」とハシゴしてきました。「いいハナシじゃないか ( ´_ゝ`) エラソウ」と思ったり。



8番スクリーン、観客は15人ぐらいでしたよ。

8番スクリーン


鑑賞後の僕の気持ちを代弁するグレート巽を貼っておきますね(「餓狼伝」より)。

いいハナシじゃないか



最初にあらすじを書いておくと、小学6年生のマックス(ジェイコブ・トレンブレイ)は、近所の幼なじみであるルーカス(キース・L・ウィリアムズ)、ソー(ブレイディ・ヌーン)と「ビーンバッグ・ボーイズ」を結成して、仲良く過ごしていたんですけれども。マックスがイケてるグループから「初キス・パーティ」に誘われた→憧れの女の子ブリクスリー(ミリー・デイビス)とキスするチャンス到来!Σ(°д° ) クワッ!」ということで、「どうやってキスをするのか?」を調べようとしたところ、近所の女子大生2人組を巻き込んで、「吸った!(`3´) チュー!」「揉んだ!(*゚∀゚)=3 ムッハー」の大騒動が巻き起こる…ってな調子。一応、オチを書いておくと、結局、作戦は大失敗したので「ビーンバッグ・ボーイズ」は解散の危機に陥るも、ルーカスの計らいによって、マックスは外出禁止を無視して、「初キス・パーティ」に参加→憧れのブリクスリーとキス! マックスは恋愛、ルーカスは正義、ソーはミュージカルとそれぞれの道を進むことになるも、ソーの主演ミュージカル「ロック・オブ・エイジズ」の打ち上げで再会すると、3人はセックスブランコに乗って友情を確かめ合うのでしたーー。 


左からルーカス、マックス、ソー。3人が三者三様の成長をするというね。
ビーンバック・ボーイズ


いや~、面白かったです!ヘ(゚∀゚*)ノ ヤッタァ! 多くの方が指摘されていると思いますが、「スーパーバッド 童貞ウォーズ」の小学生版(下ネタ仕立て)”といった印象。僕的に本作が素晴らしいと思ったのは「小学生感がリアルなところ」でしてね。フィクションに出てくる小学生って、気が利いたことを言ったりしがちですけど、実際は高学年でも「まだ子ども」じゃないですか。昨年公開されて多くの人類を悶絶させた青春映画「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」では等身大の中学生感が最高だったんですが、本作もまた上手に小学6年生たちを「背伸びしている子ども」って感じで描いていて。あの頃特有のとんちんかんな会話や価値観が面白かったし、実に懐かしかったですねぇ…(しみじみ)。本作を監督したジーン・スタプニツキー絡みの作品はあまり観たことがないんですけど(監督業は今回が初めて)、盟友リー・アイゼンバーグ(本作の製作&脚本)とコメディ畑で長年活動してきただけあって、ギャグ描写も良くて。シリアスな効果音を使ったネタは面白かったし、ルーカスが肩を脱臼したくだりには笑いっぱなしだったし、自分たちで肩を入れた時は「エラいぞ末堂、痛いんだヨ、アレは (▽∀▽ )」と思ったり(なんだそれ)。


このシーンが一番好きでした。スゲー笑った。
肩を脱臼!

脱臼した肩を入れるシーンを観ると、この愚地独歩を思い出すのです(「グラップラー刃牙」より)。
エラいぞ、末堂


 ただ、何よりも胸を打ったのは「幼年期の友情の終わり」を描いていたところ。劇中、大学生たちとの会話の中でマックスたちは「親同士が友だちで近所だから親友」ということに疑問を持つワケですが…。確かに小さいころってそうなんだよなぁと。僕は転校したり、地元と離れた場所の学校に通ったりしたのもあって、必然的に友だちがリセットされがちな人生でしたが、それでも「そういえば、仲良しだったKくんはどうしているのかな… (・ε・)」なんて思ったりしたし、自分の娘(8歳)の交友関係を思い浮かべたりしましたよ。あと、本作は「恋愛」を「全員が目指すべきゴール」ではなく「マックスだけの目標」として描いていて、それ以外の道に進む2人も肯定しているのがマジで見事であり、この部分は「スーパーバッド」よりも価値観がアップデートされていたというか、非常に感心いたしました。 


マックスは恋愛道を進みますが、それだけが「正解」ではなく、それだけが「青春」でもないのです。
マックスの恋愛


って、ベタ褒めですけど、明確に苦手だったのが下ネタ部分。本作は「主人公が小学生なのにR指定(※日本ではPG12)」という部分も話題になったそうで、僕もいくつかは爆笑しましたけど(ビールを股間に隠してチンコだと言い張るシーンが好き)、とは言え、小学生に“大人のオモチャ”を使わせて笑いをとる…ってのは、ちょっと合わなかったです。つーか、僕が己のジョイスティックでプレイをするようになったのは中学2年生と遅めでしたが(唐突なカミングアウト)、知識については小学校5年生ぐらいにはかなりあったワケで。いくらウブだろうと今の小学6年生だったら察しが付くだろうと思うし、パンフのプロダクションノートで製作者たちがやたらと「子どもたちには誤魔化した」的なエクスキューズを連発してましたが、「なワケねェーだろ」と。正直、下ネタ部分は他のネタに代替が利くとも思ったので(確かに下ネタは笑えたけど、本作の面白さはそこにないというか)、なんかね、手放しで絶賛できない僕もいた…って、伝わりますかね。


パンフに載ってた監督たちの「言い訳」を読んだ時の僕はこんな気持ちでしたよ(「餓狼伝」より)。
なワケねェーだろ


その他、思ったところを書いておくと、「ちゃんと『キスの同意をとる』という教育がされているのが今どき!(当たり前ですがー)」とか「高速道路で事故を起こすくだりは外出禁止程度じゃ済まないだろうし、大学生を“銃撃”したのもタダじゃ済まないだろうし、この手の青春コメディのリアリティ・ラインを逸脱する展開が多かったような…」とか「マックスがブリクスリーだけじゃなく、いろいろな子との出会いと別れを経験するのも新しい(別れた時の泣き顔には笑った)」とか「マックスが筋トレを続けた結果、フタを開けられるようになるシーンが好き!」とかとかとか。まぁ、何はともあれ、予想外にスゲーいいハナシだったというか、笑えてグッとくる素敵な青春コメディでしたヨ (°∀°)b ヨカッタ! 下ネタが苦手じゃなかったら、普通に楽しめると思うので、興味が湧いた方は観に行くとよござんす。




本作を製作したセス・ローゲンらが絡んだお下劣コメディ。未見なんですよね〜。


マックス役のジェイコブ・トレンブレイの出世作。僕の感想はこんな感じ。


ジーン・スタプニツキー監督らが注目されるキッカケとなったコメディ。これも未見でございます。


アホな童貞高校生たちが初体験の実現を目指すグレッグ・モットーラ監督作。スゲー面白いです。


ソーが劇中でやるのはこのミュージカル。これも観なくては… (`Δ´;) ヌゥ





2020/07/02 23:40 | 映画(2020)TRACKBACK(0)  TOP

わたしは分断を許さない(ネタバレ)

わたしは分断を許さない

 わたしは分断を許さない

2020/日本 上映時間105分
監督・撮影・編集:堀潤
脚本:きたむらけんじ
プロデューサー:馬奈木厳太郎
編集:高橋昌志
音楽:青木健
ナレーション:堀潤
コピーライター:阿部広太郎
出演:堀潤、深谷敬子、チョラク・メメット、久保田美奈穂
パンフレット:★★☆(800円/頑張ってるけど…。「対話」コーナーとか読みにくいし散漫な印象
(あらすじ)
「真実を見極めるためには、主語を小さくする必要がある」という堀潤は、香港では「人権・自由・民主」を守るべく立ち上がった若者と出会い、ヨルダンの難民キャンプではシリアで拘束された父との再会を願う少女と出会う。美容師の深谷さんは福島の原発事故により未だに自宅へ戻ることができず、震災以来ハサミを握っていない。震災後に水戸から沖縄へ移住した久保田さんは、辺野古への新基地移設の反対運動を行なう人々と知り合い、「声をあげること」を通して、未来のために自分ができることを見いだしていく。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓



50点


僕は基本的に勉強が好きではないものの(汗)、一応、日々働いている社会人としてはある程度の社会問題は知っておかないとなぁ… (・ε・) ウーン」という気持ちがあるので、映画を観ながらなんとなく社会問題を学べる“社会派ドキュメンタリー作品”はそこそこ好きでしてね(微笑)。たまたま検索していたら、あの「モーニングCROSS」堀潤さんが映画を撮ったと知って、かなり興味が湧いたので、前売り券を購入。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令される前の4月2日(木)、横浜シネマ・ジャック&ベティにて「山中静夫氏の尊厳死」と連続で鑑賞いたしました(その後、「娘は戦場で生まれた」「レ・ミゼラブル」「TRAVERSE トラバース」「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」を観た)。「次を待つ (゚⊿゚)」と思ったり。ごめんなさい、これからなかなか嫌な文章を書くので、本作が好きな人はここから読まない方が良いです。


前売り特典は「特製オリジナルステッカー」でした。
特製オリジナルステッカー

4月2日のgif。観客は8人でしたよ。
2020年4月2日の横浜

鑑賞後の僕の気持ちを代弁する宮本武蔵を貼っておきますね(「刃牙道」より)。

次を待つ



実は少し期待してた。恥ずかしながら、堀潤さんが地道にジャーナリスト活動をされていたことは知らなかったので(すでに「変身-Metamorphosis」なんて映画を撮っていたことも知らなんだ)、「こんな映画を撮るなんて、スゴイじゃん!(*゚∀゚)」と感心したし、何よりも「分断」というテーマが良いなぁと思って。最近は、何らかのトピックスがあると、すぐに極論同士がぶつかり合って分断状態になりがちですが、人間はそんなに白黒 or 右左に分けられるほど単純ではないワケで。そういうことを描くのかなぁと思っていたら、まぁ、そういうことを描いてはくれるものの、ううむ、ごめんなさい、全体的にスゲー中途半端だった印象。映画が始まると、監督が実際に足を運んで取材した「香港のデモ」「福島県の復興住宅」「難民を受け入れない東京入国管理局」「沖縄の基地反対」「中国化するカンボジア」「パレスチナ・ガザ地区」「北朝鮮の大学生交流会」などの「分断が起きている現場」の映像が流れていくんですけど…。なんて言うんですかね、いろいろな場所を扱っている分、深く掘れないのは仕方ないにせよ、とは言え、だからと言って各パートとも「分断」というテーマをしっかり描けているといったら微妙だったんじゃないでしょうか。


例えば、序盤に流れる「香港のデモ」では、警察がデモに参加した市民を銃撃するシーンが映されていてなかなかショッキングだったものの(あの程度で発砲してビックリ!)、「でも、警官側の若者たちも同じだ」みたいなナレーションをボンヤリ流されて、スゲー萎えたというか。「それはあなたが代弁するのではなく、向こうの言い分を取材してよ」って思っちゃう。逆に「沖縄の基地反対」では、米兵の言い分も流すんですが、残念ながら取材相手がお偉いさんではないだけに通り一遍の話しかできないから、時間の無駄に感じたし…(その「通り一遍」感を出したかったにせよ、不要だと思う)。その地に暮らす人=小さい主語を映すことで分断を描きたいんでしょうけど、ほとんど片方の意見だし…。志は高いけど力不足に感じたというか。もうちょっと場所を絞って描いた方が良かったんじゃないかなぁ。ハッキリ言って、期待していた分、少なからず落胆いたしました。一応、オチを書いておくと、「俺たちの戦いはこれからだ!ヽ(`Д´)ノ」的に終わってたような気がします(うろ覚え)。



ということで、僕の気持ちを代弁する烈海王を貼っておきますね(「バキ」より)。

少なからず落胆を…



「真実を見極めるためには、主語を小さくする必要がある」というのは本当に同意なんだけど、小さい主語が多すぎて作品が散漫になってたというか、ごめんなさい、ドキュメンタリーとして面白くなかったです。方向性や題材は違いますが、「ビハインド・ザ・コーヴ 捕鯨問題の謎に迫る」を観た時のことを思い出しましたよ。同名の単行本を読んだ方がわかりやすいのかなー。ただ、僕的に本作はイマイチでしたが、真っ当なジャーナリスト活動をしている堀潤さんの姿勢は尊敬できるのでね、「次を待つ (゚⊿゚)」という気持ちでございます。まぁ、何はともあれ、所詮は偏差値低めのブログなのでね(苦笑)、興味がある方はぜひ観てみてくださいな。





堀潤さんによる同タイトルの単行本。興味はあるんですがー。



サントラも販売中でございます。



堀潤さんの第一回監督作。こちらも気になります…。


「その志は買うけど、乗れなかった映画」繋がり、その1。僕の感想はこんな感じ。



「その志は買うけど、乗れなかった映画」繋がり、その2。僕の感想はこんな感じ。






2020/06/22 19:00 | 映画(2020)TRACKBACK(0)  TOP

娘は戦場で生まれた(ネタバレ)

娘は戦場で生まれた

娘は戦場で生まれた

原題:For Sama
2019/イギリス、シリア 上映時間100分
監督・制作・撮影:ワアド・アルカティーブ
監督:エドワード・ワッツ
製作総指揮:ベン・デ・ペア ネバイン・マボーロ、シオバーン・シネルトン、ジョージ・ウォルドラム、ラニー・アロンソン=ラス ダン・エッジ
出演:ワアド・アルカティーブ、サマ・アルカティーブ、ハムザ・アルカティーブ
パンフレット:★★★★(700円/骨太なコラムが3本。特にナジーブ・エルカシュさんのコラムがタメになりました!
(あらすじ)
ジャーナリストに憧れる学生ワアドは、デモ運動への参加をきっかけにスマホで映像を撮り始める。やがて医師を目指す若者ハムザと出会い、夫婦となった2人の間に、新しい命が誕生する。多くの命が失われる中で生まれた娘に、平和への願いをこめて「空」を意味するサマと名づけたワアド。その願いとは裏腹に内戦は激化し、都市は破壊され、ハムザの病院は街で最後の医療機関となる。明日をも知れぬ身で母となったワアドは、家族や愛する人のために生きた証を映像として残そうと決意する。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




90点


正直、シリア内戦を扱ったハードなドキュメンタリーを観るのって精神的にキツくて。いくら「アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ノミネート!」とか「マイケル・ムーア監督が『史上もっともパワフルで重要なドキュメンタリーの一つ』と絶賛した!」とか聞いても、過去に「ラッカは静かに虐殺されている」とか「アレッポ 最後の男たち」を観てお腹いっぱいであり、「観たい映画の覚え書き」を書いた時点では「△」程度の気持ちだったんですけれども。横浜のシネマ・ジャック&ベティメンズデー割引を利用していろいろ観ようと思った時、本作がちょうどハシゴできる感じだったので、なんとなく観ることに決定。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令される前の4月2日(木)、「山中静夫氏の尊厳死」「わたしは分断を許さない」と続けて鑑賞いたしました(その後、「レ・ミゼラブル」「TRAVERSE トラバース」「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」を観た)。「とてもムリだ (・ω・;)」と思ったり。


4月2日のgif。観客は15人だった記憶。
2020年4月2日の横浜

鑑賞後の僕の気持ちを代弁する本部以蔵を貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。

とてもムリだ



内容をザッと書いておくと、時は2012年、「アラブの春」に触発されて民主化を求める平和的なデモは、政府側に暴力的に鎮圧されていくも、ジャーナリストに憧れる学生ワアドはスマホで撮影するエブリデイ。2015年になると、ロシアが軍事介入してきて、状況はさらに悪化しましてね。そんな中、医師を目指す若者ハムザと出会い、夫婦となった2人の間に娘が生まれたので、平和への願いをこめて「サマ」(「空」という意味)と命名するも、内戦は激化する一方で、彼女たちが住むアレッポも空爆されまくり。最終的にはハムザの病院も爆撃されてしまい、2016年12月にアレッポは陥落。家族で街から這々の体で脱出して、映画は終わってましたよ。



最後は、少し成長したサマが映って終わってましたよね、確か。

少し成長したサマ



まぁ、予想通りではありつつも想像以上にヘビーというか。ジャーナリストの視点からの「ラッカは静かに虐殺されている」ホワイトヘルメットの立場からの「アレッポ 最後の男たち」とはまた違って、「母」「家族」「医療従事者」という目線で撮影されている感があって(まぁ、ワアドは母であり、ジャーナリストでもあるんですけどね)。「ロシアの容赦ない空爆」に「次々と死んでいく市井の人々」と、スクリーンに映し出される事象は相変わらず凄惨ながらも、「家族の絆」や「守られる命」なども見せられる分、ちょっと希望が持てる感もあったという不思議。


一番そう感じさせられたのは「呼吸をしていない赤子が息を吹き返すシーン」で、正直、僕はもう死んじゃったと思っていただけに、観るのがスゲー辛かったんですが、赤子が生を取り戻した時は、本当に感動した。もちろん無理なケースも多々あるとは思いますけど(汗)、あれほど絶望的に見える時でも何とかなるんだと。最後の最後まで諦めなかったハムザはマジで尊敬したし(あんなシーンを撮りきったワアドもスゴい)、価値観がアップデートされたというか。あの場面だけでも、僕はこの作品を観た価値があったし、いい勉強をさせていただきました。



僕の気持ちを代弁する北辰会館の志門剛俊を貼っておきますね(「餓狼伝」より)。

いい勉強させていただきました



とはいえ、同じ「子を持つ親」としては、非常に乗れないところもあって。僕はこんなリスキーな現実世界で子どもを育てるという行為を少し恐れている部分があって。率直に書くと、2011年3月11日の後だったら、子どもを作らなかったかもしれないと思うぐらいなんですよ。で、本作のワアドなんですが、一旦、家族でアレッポを離れることになるも、その後、迷いながらも子どもを連れて戻るんですね。要は「多くのアレッポの市民が危険にさらされている中、彼女たちが逃げれば『自分だけ助かればいい』という姿を子どもに見せてしまう」ということであり、劇中で自分の行動を「時間を巻き戻せても同じことをする」と語るワアドはほとばしるほど立派だとは思いますが…。


でも、それって無事だったから言えることであり、もし子どもが死んでたら? 死なないまでも子どもが何らかの障害を負っていたら? 理念よりも何よりも「子ども自身の安全」を優先すべきじゃないの? もちろん彼女自身も迷いながら選んだ行動と言動であり、決して責められないけど、ごめんなさい、それでも僕は結構イラッとしたというか、そんな話を美談にはしたくないと思った…ってのは、「どこか遠い国で起こった大惨事、TVで眺めてる幸せな午後三時」ってな暮らしを送っている日本人が偉そうに言えることでもないんですがー。



まぁ、僕なんぞはこう言われても仕方ない話ですな…(「範馬刃牙」より)。

なにを言うか!



って、浅薄な文句を付けちゃいましたが(汗)、とはいえ、彼らの行動の数々は「僕にはとてもムリだ (・ω・;)」と心底尊敬できたし、命がけで作っただけあって、とにかくスゴいドキュメンタリーだと思いましたよ(小並感)。非常に悲しいことに、世の中には「そうだ難民しよう」なんて浅薄で稚拙な「表現」をしちゃう愚かな人間もいるワケですが(偽装難民の問題はないワケじゃないけど、この手の人は実際の難民が困ることには考えが及ばない様子)、いろいろと視野が広がると思うのでね、多くの人に本作を観てほしいと思います。おしまい。





2018年に観たドキュメンタリー。僕の感想はこんな感じ。


パンフで引き合いに出されていたドキュメンタリー。僕の感想はこんな感じ。




2020/06/21 23:20 | 映画(2020)TRACKBACK(0)  TOP

9人の翻訳家 囚われたベストセラー(ネタバレ)

※本作はミステリー映画ということで、ネタバレを知らない方が絶対面白いのは間違いないので、未見の人は読まない方が良いですぞ。
※今回の記事は「オリエント急行の殺人」のネタバレに触れているんですが、ミステリー小説の名作なのでね、もし未読の方がいましたら、ここから先の感想は読まない方が良いです。
※今回の記事は、「ワイルド・スピード MEGA MAX」や「エクスペンダブルズ2」のネタバレに触れているので、知りたくない人は読まないで!
※今回の記事は、相当に面倒くさい内容なので、この映画についてのちゃんとした考察などが読みたい方は別のブログに行くとよござんす(すでに面倒くさい文末)。








9人の翻訳家 囚われたベストセラー

9人の翻訳家 囚われたベストセラー

原題:Les traducteurs
2019/フランス、ベルギー 上映時間105分
監督・脚本:レジス・ロワンサル
製作:アラン・アタル
脚本:ダニエル・プレスリー、ロマン・コンパン
撮影:ギョーム・シフマン
美術:シルビー・オリベ
衣装:エマニュエル・ユーチノウスキー
編集:ロイック・ラレマン
音楽:三宅純
出演:ランベール・ウィルソン、オルガ・キュリレンコ、リッカルド・スカマルチョ、シセ・バベット・クヌッセン、エドゥアルド・ノリエガ、アレックス・ロウザー、アンナ・マリア・シュトルム、フレデリック・チョウ、マリア・レイチ、マノリス・マブロマタキス、サラ・ジロドー、パトリック・ボーショー
パンフレット:★★★★☆(820円/「デダリュス」を模した表紙デザイン、翻訳家3人の対談とか、いろいろ頑張ってますな。ネタバレ全開なのも高評価
(あらすじ)
フランスの人里離れた村にある洋館。全世界待望のミステリー小説「デダリュス」完結編の各国同時発売に向けて、9人の翻訳家が集められた。翻訳家たちは外部との接触を一切禁止され、毎日20ページずつ渡される原稿を翻訳していく。しかしある夜、出版社社長のもとに「冒頭10ページをネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ、次の100ページも公開する。要求を拒めば全ページを流出させる」という脅迫メールが届く。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


本作については、確か新宿ピカデリーがそれなりにプッシュしていたので、なんとなく「2020年1月公開で観たい映画の覚え書き」では「一応観たい」程度の印を付けていたんですけれども。「屍人荘の殺人」「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」といったミステリー映画を観るうちに、なんとなく本作も気になってきちゃいまして。よくよく見たらポスターが“本の表紙を意識したビジュアル”なのは好感が持てるし(赤い部分が帯になってるのね!)、よくよく考えたらどんな話になるのか想像もつかないし…。いつの間にか観る気マンマンになっていたのだから、人間とは不思議な生き物、ですな(知った風な口で)。


想像できない割には偉そうな渋川剛気を貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。
想像できないんですよ


そんなワケで、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令される前の4月2日(木)、横浜のシネマ・ジャック&ベティメンズデー割引を利用して、「山中静夫氏の尊厳死」「わたしは分断を許さない」「娘は戦場で生まれた」「レ・ミゼラブル」「TRAVERSE トラバース」と5本観てから鑑賞いたしました。「そうだったのか…ッ (`Δ´;) ヌゥ」と思ったり。



4月2日のgif。観客は4人でしたよ。
2020年4月2日の横浜


僕の気持ちを代弁する烈海王を貼っておきますね(「範馬刃牙」より)。
そうだったのか…ッ


いつもは雑にあらすじを書いてから感想に入っていますが…。フフフ、今回はどんな気持ちで“本作の謎”に向き合っていったのかも同時に書いていこうと思います。僕は基本的にあまりミステリー小説を読まないし、それほど興味もない男なんですけど(あの有名な「アクロイド殺し」のオチを忘れるレベル)、ミステリー映画に関しては「それなりには観ている」のでね(苦笑)、謎解きをすること自体は決して嫌いではないし、ちょっと自信もあるのですヨ ( ´_ゝ`) フフフ で、映画が始まると、謎の作家オスカル・ブラックの新作デダリュス」の完結編が発売されることになり、フランスのとある豪邸に9ヵ国から来た9人の翻訳家が集まりまして。出版社社長のエリック・アングストローム(ランベール・ウィルソン)は「電話やSNSは禁止!」「毎日20ページずつ翻訳!」などのルールを伝えて、そこそこ設備が整った地下施設に閉じ込めると、みんなで一斉に翻訳をスタートするのです。ちなみにメンバーは下記の9人でございます。


ロシア語担当/カテリーナ・アニシノバ(オルガ・キュリレンコ)
イタリア語担当/ダリオ・ファレッリ(リッカルド・スカマルチョ)
デンマーク語担当/エレーヌ・トゥクセン(シセ・バベット・クヌッセン)
スペイン語担当/ハビエル・カサル(エドゥアルド・ノリエガ)
英語担当/アレックス・グッドマン(アレックス・ロウザー)
ドイツ語担当/イングリット・コルベル(アンナ・マリア・シュトルム)
中国語担当/チェン・ヤオ(フレデリック・チョウ)
ポルトガル語担当/テルマ・アルヴェス(マリア・レイチ)
ギリシャ語担当/コンスタンティノス・ケドリノス(マノリス・マブロマタキス)


この9人が翻訳することになるのです。
9人の翻訳家たち

仕切るのは社長のエリック。アタッシュケースの暗証番号は「069」…って、エロ数字扱いなのは万国共通なのね。
ランベール・ウィルソン


この設定、作家のダン・ブラウンが「インフェルノ」を出版する際のエピソードをベースにしているそうで (゚⊿゚) ヘー で、エリックの元に「冒頭10ページをネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ、次の100ページも公開する。要求を拒めば、全ページを流出させる」といった脅迫メールが届くんですけど、この時点で僕がボンヤリと立てた予想は2つ。1つは「オリエント急行の殺人」的な「全員犯人パターン」ですよ。あの監禁状態を分析すると「原稿を外に持ち出すのは1人じゃ無理」じゃないですか。だから「もしや全員で協力したのでは?(ロシア人のボディガード含めて)」と。「持ち出すための道具は、アレックスが持ち込んだスケボーに隠されているのでは…?」なんて考えたりもしてね。とは言え、それじゃあミステリーとしてフェアじゃない気がしたので、ズバリ犯人はダリオだッ!m9`Д´) ビシッ だって演じているリッカルド・スカマルチョは「ジョン・ウィック:チャプター2」で超ムカつくマフィア役をやっていたし、基本的にこの手の映画の犯人は「それなりに有名な役者」じゃないと盛り上がらないし(サラリと他の俳優に失礼な文章)、何よりもポスターで真ん中にいるのがスゲー怪しいじゃないですかぁ〜(突然、馴れ馴れしく)。


今どき「全員犯人でした」オチはフェアじゃないと思うのです(「グラップラー刃牙」より)。
フェアじゃない

ということで、現時点での僕の予想はイタリア代表のダリオ。犯人顔だよね〜 (`∀´)(´∀`) ワカルー
リッカルド・スカマルチョ

もうね、すっかり愚地克巳的な自信に包まれていたというね(「バキ」より)。
俺は間違っているかい


映画が進むと、「みんなで翻訳しているパート」は過去の話であり、エリックが刑務所で犯人っぽい奴(それが誰なのかは映さない)に対して『お前のせいなんだろ?』といった感じで問い詰めるパート」という現在の話が入ってくるだけでなく、「エリックが、学生時代の恩師であり、実はオスカル・ブラックジョルジュ・フォンテーヌ(パトリック・ボーショー)から『デダリュス』の原稿を受け取った時の回想シーン」なども描かれて、なかなか入り組んだ構成になってきましてね。そんな中、「翻訳パート」ではまたもやページが流出してしまい、エリックが激怒して、翻訳家たちに対して人権無視のパワハラ三昧(というか拷問)を始めるから「マジか!Σ(゚д゚)」と。いくら大金がかかっているとしてもやりすぎというか、行動にリアリティがないよなぁ…なんて思いながら「現在パート」に移ると、実はエリックの方が刑務所に入っていて、面会に来ていた相手(=犯人)はアレックスだったから、私は間違っていた ( ゚д゚)


映画中盤でイギリス代表のアレックスが犯人だったと分かる構成にはビックリ。
アレックス・ロウザー

間違っていた割には偉そうなアレクサンダー・ガーレンを貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。
わたしは間違っていた


アレックスの回想によると、実は彼とハビエルとチェンとテルマとイングリットはグルであり、「エリックが地下鉄で移動中にアレックスがカバンをすり替える→アレックスが電車から降りて、ハビエルとチェンに渡す→2人はカバンの中にあった『デダリュス』の原稿をコピー→テルマの運転で電車に追いつく→イングリットが電車内にネズミを放って騒ぎを起こしたところでアレックスがエリックに気づかれずにカバンをすり替える」という手口だったというね。正直なところ、アレックスの出番が長かったので、「犯人はこの人かも」と思い始めていたし、「仲間との犯行」というのは納得しつつも、ずいぶんタイトかつリスキーな犯行計画というか、なんだか現実感がないなぁと(そもそも「あのカバンに原稿が絶対入っている」って保証がないじゃない…)。つーか、なんて言うんですかね、アレックスたちの犯行の回想シーンはアクション的に面白かったし(スケボーも活躍!)、「翻訳パート」では密かに小説を書いていたエレーヌがエリックに罵られて首吊り自殺をしたりと、サスペンス的な展開は加速してきたものの、もうこれ以上の謎はなさそうというか、これで謎解き要素はおしまい」なムードを感じて、ちょっと興を削がれた僕なのでした (´・ω・`) スミマセン


ここまでの僕の気持ちを代弁する愚地独歩を貼っておきますね(「刃牙道」より)。
なんだかリアリティがない


ところが! 「血迷ったエリックがカテリーナを銃で撃ったため刑務所に収監された」とか「アレックスも撃たれたものの、懐に入れていた『失われた時をもとめて』のおかげで助かる」とか「虐げていた従業員ローズマリー(サラ・ジロドー)に裏切られて、エリックは8000万ユーロを支払うことに…」といったことが明らかになりつつ、最終的には「実はカバンをすり替えたのはウソであり(仲間の4人も騙されてた)、実はアレックスこそがオスカル・ブラックであり(ジョルジュは師匠兼父親代わり的存在で、小説を発表したくなかったアレックスを説得した)、実は文学を侮辱する商業主義野郎エリックがジョルジュを殺した上に放火していたのでアレックスはその仇を討とうとしていて、実は8000万ユーロはエリックの口座に振り込まれていて横領の罪を上乗せされた」なんて「実は」を畳み掛けられるから、そうだったのか…ッ (`Δ´;) ヌゥ で、アレックスったら、警察が仕掛けた盗聴器を巧みに利用して、ちょうどエリックの「オスカル・ブラックは私が殺した!(;`Δ´)」的な自白部分だけ警察に聞かせたので、さらに罪はバイバインアレックスがアンニュイな表情でジョルジュを思い出しながら刑務所から立ち去って、映画は終わってたんじゃないかしらん。


なんとなくアレックスと仲間たちがクリスマスに歌う「世界は愛を求めている」を貼っておきますね↓




いや〜、非常に面白いエンタメミステリー映画だと感心しました。ハッキリ言って、ちゃんとしたミステリーとして考えると、アレックスの犯行計画はかなり“エリックのクズっぷり&バカっぷり”と偶然に頼りまくっているし(最近、あの手の「犯人がベラベラと自白してくれるオチ」は見飽きた感もある)、そもそもかなり回りくどいし、犠牲者も出しちゃったし、決して褒められたものではないと思うんですけれども。とはいえ、「アレックス=オスカー・ブラック」という大ネタの部分は勘が良い人なら最初から推理できただろうし、あの無理がある「カバンすり替え」も「すり替えてなかった」なら逆に納得できたし、エリックの過剰な攻撃性も「すでに1人殺してたからか!Σ(゚д゚)」とオチを知ればスムースに飲み込めたし、それなりにフェアな作品なんじゃないかなぁと。まぁ、エレーヌが自殺した&カテリーナが撃たれたのは、エリックのせいだけでなく、自分の復讐のためにあんな状況を作ったアレックスにもあるので、最後に割腹自殺をする級に猛省してほしかったものの、次から次へと目まぐるしく変わる展開に振り回されるのが面白くて、トータル的には非常に楽しめたというか。もうね、ああん、すっかり騙されちゃいましたヨ (ノ∀`) ワタシマケマシタワ


騙された割には偉そうな鎬昂昇を貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。
すっかりだまされてしまいました

だがしかし、ヴィンスの遺された妻子に金を送ったドムのような…(「ワイルド・スピード MEGA MAX」より)
ドムからの贈り物

そしてビリーの恋人に金を送ったバーニーのような気遣いはできなかったのか(「エクスペンダブルズ2」より)。この部分は猛省してほしいです。
バーニーからの贈り物


でもね…。そりゃあ、映画というのは予想を裏切られたりするのが楽しいのでね(苦笑)、基本的には満足したんですが、でも、でも、本当は悔しかったーー。「ポスターの真ん中にいるから犯人」だなんて思い込んでたけど、アタシの目、クリティカルに節穴だった。47歳にもなって、こんな謎を考えつかなかったなんて、恥ずかしい、恥ずかしい。僕は今まで一体何をしてきたのか? このままじゃ映画の感想なんて書けない…。そう思った僕は「俺ダッテ出来ルンダ!!!Σ(°д° ) クワッ」と、自分の力をブログ読者のみなさんに証明するため、公開時は気付かなかった「“クイズ王”古川洋平からの挑戦状」キャンペーンに超今さらながらチャレンジしたというね。


僕の気持ちを代弁するジャック・ハンマーを貼っておきますね(「範馬刃牙」より)。
俺ダッテ出来ルンダ!






後追いでクイズの出題動画公式Twitterやらをチェックしてみれば、謎1の答えは「ギリシャ」で、謎2の答えは「ドイツ」謎3の答えは「スペイン」謎4の答えは「デンマーク」だろう。謎5の答えは1月24日付の新聞広告をチェックできなかったので問題自体が不明ながらも、ここまでに得た材料を元に、公式Twitterのアドバイスを経て、特設サイトに書かれていたヒントの通りに「挑戦状動画&謎1 をもう一度よ~く見る」と、デンシャハシルケ」まで分かるということで。残りの語句をすべて試してみたところ、謎5の答えを「イギリス」にすれば、導き出される文章は「電車走るケモノ」であり、最終回答は「カタカナ3文字」となれば…フフフ…謎はすべて解けた。答えは、答えは、答えはッ、答えは「ネズミ」だッ!m9`Д´) ビシッ


この国旗の位置に従って、「謎1」で使った画像に各謎の答えを当てはめてみると…。
9ヵ国の国旗画像

こんな風になりまして。あとは謎の順番に読めば良いのです ( ̄ー ̄) ニヤッ
謎1の画像を再利用

解いた瞬間の僕の気持ちを代弁する猪狩完至を貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。
ああ…いい気持ちだ…


ということでね、賞品に応募はできなかったけど、クイズが解けて良かったです(いつの間にか主旨が違う着地)。あとね、フフフ、実はこのブログにも「ちょっとした謎」が隠されているのは気付きましたか? そもそも僕はなぜこの映画を観たのかーー? まぁ、もし気付いたからといって、アナタの心に「だからなんだよ ( ゚д゚)、ペッ」以外の感情が生まれる確率は低いと思いますが(汗)、そんな面倒くさい文章諸々を唐突に最後に残して、この感想を終えたいと思います ( ´_ゝ`) フフフ




7月3日にソフトが発売予定でございます。



三宅純さんが手掛けたサントラはすでに販売中です。



レジス・ロワンサル監督作。僕の感想はこんな感じ。


劇中でアレックスが愛読していた本。たぶん一生読まない気がします…。




<「ちょっとした謎」の答え>
僕が本作を観ようと思った本当の理由は「『9人の翻訳家』にちなんで『9人の格闘家』の画像を使って書いた映画レビューは今までにないハズ!(*゚∀゚)=3 ムッハー」と思いついてしまったから。しかも「グラップラー刃牙」の「最大トーナメント編」において、範馬勇次郎が対戦を要求した「勝ち上がった9名」の方をあえて選んでいるのです…って、ああん、すみません、怒らないでぇ!(´Д`;) オシマ


2020/06/19 01:40 | 映画(2020)TRACKBACK(0)  TOP

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