ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮(ネタバレ)
ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮※この記事は、2013年6月1日にアップしたものです。
原題:En kongelig affare
2012/デンマーク 上映時間132分
監督・脚本:ニコライ・アーセル
製作:ルイーズ・ベス、シセ・グラム・ヨルゲンセン、ミタ・ルイーズ・フォルデイガー
製作総指揮:ラース・フォン・トリアー、ペーター・オールベック・イェンセン、ピーター・ガード
脚本:ラスムス・ハイスタバーグ
撮影:ラスムス・ビデベック
美術:ニールス・セイエ
衣装:マノン・ラスムッセン
編集:ミケル・E・G・ニールセン、カスパー・レイク
音楽:ガブリエル・ヤレド、シリル・オフォール
出演:マッツ・ミケルセン、アリシア・ビカンダー、ミケル・ポー・フォルスガード、トリーネ・ディアホルム、デビッド・デンシック、サイロン・メルヴィル、トマス・ガブリエルソン
パンフレット:★★★★(700円/Bunkamura ル・シネマのパンフはいつもコラムがしっかりしてますな)
(あらすじ)
精神を病んだデンマーク国王クリスチャン7世(ミケル・ポー・フォルスガード)の侍医となったストルーエンセ(マッツ・ミケルセン)は、王の唯一の理解者となり、友人として親交を深めていく。一方、孤独な王妃カロリーネ(アリシア・ビカンダー)もストルーエンセに心ひかれ、2人は恋仲になる。ストルーエンセはやがて王の言動を操り、事実上の摂政として政治改革を進めていくが、それを快く思わない貴族たちが密かに政変を起こそうと画策していた。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
65点
尊敬する映画評論家の町山智浩さんが「たまむすび」で紹介されていたし、今をときめくマッツ・ミケルセンが主演だし、前売り特典の「デンマークの幸せを呼ぶコイン」がなんとなく気になってしまったので、「偽りなき者」を観た時に前売り券を購入。先日、渋谷のBunkamura ル・シネマに行って来ました。重かったです… (´Д`;) イヤーン
ロビーには記事の切り抜きが飾られてましたよ。
正直、つい前売り券を買ってたものの、「よくよく考えると、絶対ハッピーエンドじゃないよなぁ (´・ω・`)」と思って。観る前から少し気が重かったりしたんですよね…。何はともあれ、予告編の画像を使ってダラダラダラダラとあらすじを書いておきますが(マジで長いので注意!)、時代がほぼ一緒ということで、「ベルサイユのバラ」の主題歌を聴きながら読むと、なんとなく雰囲気が出るかもネ (o^-')b オススメ!
時は1766年のデンマーク。英王室からカロリーネが「素敵な王様だったらいいのにな、そうだったらいいのにな 川´∀`) ウフフ」と夢見て嫁いで来たんですが…。
クリスチャン7世ったら「一番の趣味は自慰」で、王宮に娼婦を連れ込む型破りなキングだったからブレイブだぜ!ヘ(゚∀゚*)ノ バモラ!
案の定、初夜は“強制手コキ”から始まる斬新なプレイ。カロリーナは拒否するもキングは“王の力”でブレイブインしてくるのでした (´・ω・`) カワイソウ
そして王妃が長男フレデリクを生んだ1968年、キングの侍医として、ストルーエンセが登場だッ!
お互いシェイクスピア好きということで台詞を言い合って意気投合し、王と侍医はすっかり仲良しに。
さらにルソーの「社会契約論」を通じて、王妃との仲も急接近。友人ブラント(サイロン・メルヴィル)にランスロットを例に出されて止められるも…。
燃える2人は誰にも止められない! 「ヤッチャオーゼー!( `Д´)ノ」「ガブリンチョ!ヽ(`Д´し」と情事を重ねてしまうのでした。
で、王妃のアイディアで、ストルーエンセがキングをそそのかすようになりまして。
キングは民衆に優しい法案を提案しまくった挙げ句、枢密院を解散! ストルーエンセが実権を握るように。
これで怖い物ナシかと思いきや、この時代は避妊という概念がないので、王妃が身ごもってしまうという悪夢。
行動もスキがあったりするため、こうやって触れ合っているところを目撃されたりすると…。
キングの継母、王太后ユリアーネ(トリーネ・ディアホルム)&政治家グルベア(デビッド・デンシック)が暗躍開始!
グルベアの策略で、世間にスキャンダラスな記事が出回るようになり、侍医&王妃&キングの生活は荒れ模様に。
さらなる策が発動して、憎悪に燃えた暴徒が宮殿に押し寄せる! 怯えて疑心暗鬼になったキングは逮捕状にサインしてしまい、ストルーエンセは逮捕。
刑務所では毎日が拷問デー。ストルーエンセは罪を認めて、処刑されることが決定しましてね。
民衆の憎悪を浴びながら、斧で処刑されちゃってました ('A`) ゲンナリ 処刑を止められなかったキングもションボリ。
当然ながら王妃も捕まって、子どもたちと引き離されて、クロンボー城に幽閉→ドイツで生涯を終えてましたよ。
どうです、なかなかヘビーな話じゃないですか。少しでも“重さ”が和らぐようにと、途中まで「VAMOLA! キョウリュウジャー」の歌詞を引用してみたりしたんですが、全然上手くなかったですな ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ まぁ、実はまだ続きがあって。この映画はカロリーネが自分の2人の子どもフレデリク&ルイーセ・アウグスタに宛てた手紙を読む形でスタート→最後は子どもたちがその手紙を読むんですね。で、「大きくなったフレデリクは、王太后&グルベアを追い出して、ストルーエンセが行った改革を実行した」的なテロップが出て終わるので、多少の溜飲は下がる感じではありましたよ。
まぁ、このクソ政治家グルベアが拷問の末に死ねば、もっと溜飲が下がったとは思いますがー。
132分もあるこの映画が飽きずに観られたのは、役者さんたちが実に魅力的だったからでしょうな。“北欧の至宝”マッツ・ミケルセンはもちろんですが、キングを演じたミケル・ポー・フォルスガードも映画初出演とは思えない素晴らしさなのです。でも、一番褒めてあげたいのは王妃役のアリシア・ビカンダー。実に愛らしく、可哀相だったんですが、湯船に浸かるシーンでチラリと乳首が見えた時は、非常に感心いたしました(この「見えても見えなくても、お風呂のシーンだから脱ぐのが当たり前でしょ? 川o^-')b」的な姿勢が素敵!)。
演出も良かったです。パンフレットで触れられていましたが、序盤から王妃が知性が高く慈悲深い女性なのがわかるような場面をちゃんと入れてたりするし、ストルーエンセが次第に“嫌っていた貴族たち”と同じようにキングを雑に扱っていく流れも面白かったし(結局、誰もキングを1人の人間として見てくれてなかったというね…)、「昔、ストルーエンセと仲が良かったランツァウ伯爵(トマス・ガブリエルソン)」や「キングと揉めたブラントが指を噛んだ事件」などが何気に伏線になってたりしたし。映像もちゃんと格調高いムードで、素敵でしたね~。
あと、とにかくいろいろ考えさせられました。まず、2人を破滅させる“不倫”ですが、ダメだと思いつつ仕方なくも見えて、「どうすれば良かったのか? (・ω・;) ウーム」と。特にカロリーナに関しては、キングが恐ろしいほど残念な人だし(精神疾患を抱えていたそうな)、本人もまだ十代の娘ということで、そりゃあ恋愛の1つでもしたくなるし、「恋をとめないで!ヽ(´Д`;し」って思っちゃいますわな。最後、子どもと引き離されちゃってさ、確かに本人のせいなんだけどさ、とても「自業自得」と切り捨てられないというか、スゲー可哀相でした… (ノω・、) グスン
なんとなくCOMPLEXの名曲を貼っておきますね↓
次に、物事を進める時の心構えというか、「無闇に敵を作っちゃダメだな! (`・ω・´) キリッ」と。ストルーエンセ的に“農民を拷問して殺すような貴族ども”が大嫌いなのはわかりますけど、本当に大きな目的を遂行したいのなら、最近観た「リンカーン」のように、気にくわない相手でも“ある程度の言い分”は聞いてあげて、なるべく味方にすべきじゃないですか。実は先日、某業界団体の集まりでいろいろと変更することがあって、それを僕が説明したんですが…。特に親しくもないジジイが「①すでに解決していることを」「②偉そうに蒸し返してきた」ので、僕はすっかりMK5であり(唐突な死語)、敵意を剥き出しにしそうになったんです、がしかし! にこやかに向こうの立場を立てながら対応したら、スムースに問題が解決しまして。こっちから譲れば相手もわかってくれたりするモノなんですよね。もちろんストルーエンセほど極端な人はそうそういないでしょうけど、例えば「正論を唱えている時」とか、自分が正しいからって、ついつい一方的に攻撃しがちなので、気をつけたいところですな。
まったく関係なくて申し訳ありませんが、広末涼子さんの歌で一番好きなのはこれかもしれませぬ↓
最後は、「民衆って怖いな!Σ(゚д゚;) ヒィ!」と(自分も含めて)。劇中では「王妃と侍医の不倫」という“わかりやすい下半身スキャンダル”で怒りがボーボー燃えて暴徒化してましたけど(ストルーエンセが検閲を廃止したことで、逆にバッシングされるという理不尽)、ストルーエンセが“彼ら民衆のための法案”を通してきたことなんて、まったく考慮してなくて。結局、腐った貴族どもの体制に逆戻りするのを助けちゃうんですよね…。最後、“処刑されるストルーエンセが「僕も同じ一般市民なんだYO!ヽ(TДT)ノ」と必死に訴えてるのに誰の心にも届かないシーン”は、観ててかなりキツかったです。
初めてマリー・アントワネットの「パンがなければケーキを食べればいいじゃない ┐川´ー`)┌ バカネ」という発言を知った時、僕的には「これが逆転の発想か!∑(゚Д゚) ナルホド!」「よーし、お父さん、ホールでモリモリ食べちゃうぞ!ヘ(゚∀゚*)ノ 5ゴウ!」なんて間違った受け取り方をしましたけど(不要な文章)、アレだって「実は政敵が作ったデマ」という説が有力じゃないですか。ああいう「わかりやすく叩けるニュースで憎悪を燃やされて、重要事項から目を逸らされること」って、昔からあったんだなぁと(まぁ、この映画の場合は事実でしたが)。情報操作ってのはつくづく恐ろしいというか、「踊らされないようにしなくては… (;`Δ´) ヌゥ」とあらためて思ったり。
関係なさすぎてマジ申し訳ないんですが、炎上繋がりで「炎の転校生」を貼っておきますね↓
で、観終わった後、パンフレットやwikipediaのストルーエンセの項目を読んだりしてみたら、映画ほどの善人じゃなかったみたい (ノ∀`) ナァンダ ただ、キングに関しては「2人とも助命できればよかったのに」なんて文章を実際に書き遺してたので、ガチでイイ奴だったのかもしれないけど、そんなことはどうでも良いでガース!(゚∀゚し 良い映画だとは思いつつも、主人公たちの運命があんまりすぎるので、ごめんなさい、そんなに好きじゃなかったです。まぁ、この時代を描いた作品が好みの人ならグッとくるんじゃないですかね。
ニコライ・アーセル監督が脚本で参加した作品。初監督作はDVDになってないみたいですな…。
未読ですが、ストルーエンセとカロリーナのことも載っている様子。
なんとなく貼っておきますね。「世界一幸せな国」って本当なの?
一応、池田理代子先生の名作も貼っておきますね。今の人が読んだら、どう思うのかしらん。
2014/07/05 04:37 | 映画(2013) | TRACKBACK(0) TOP