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スプライス(ネタバレ)

スプライス※この記事は、2011年1月14日にアップしたものです。
※シネマハスラーへのリンクなどを追加しました(3/26)


スプライス


原題:Splice
2009/カナダ、フランス 上映時間104分
監督・脚本:ビンチェンゾ・ナタリ
脚本:アントワネット・テリー・ブライアント、ダグ・テイラー
撮影:永田鉄男
出演:エイドリアン・ブロディ、サラ・ポーリー、デルフィーヌ・シャネアック、デビッド・ヒューレット、シモーナ・メカネスキュ、アビゲイル・チュ
(あらすじ)
種類の異なる動物の遺伝子を接合させて、いくつものハイブリッド生命体を作ってきた遺伝子工学の研究者クライブ(エイドリアン・ブロディ)とエルザ(サラ・ポーリー)は、製薬会社が禁止しているにもかかわらず、人間のDNAを使ってハイブリッドを作る実験を秘密裏に行い、“ダレン”(デルフィーヌ・シャネアック)と呼ばれる生命体を作り出す。すさまじい早さで成長する“ダレン”にエルザは喜んでいたが、やがて“ダレン”は人間を襲い始め……。(以上、エイガ・ドット・コムより)

予告編はこんな感じ↓




65点


※今回の記事は、ちょっとグロく感じる怖れのある画像や性的な画像を貼っているので、そういうのが苦手な人は要注意!
※今回の記事は、画像でモロにネタバレしているところがあるので、映画を観る予定の人は読まない方が良いと思われます。


シネマハスラーの課題映画になったから」という理由もあるんですが、あのビンチェンゾ・ナタリ監督の作品ということで、「今までにない“新しいクリーチャー映画”が観られるのでは!?」と前から期待していたところもあったりしまして。新宿バルト9に行ってきたワケですが…いわゆる“ジャンル映画”として考えれば、十分、及第点の作品ではないでしょうか。

この手の映画で大事なのは、「出てくるクリーチャーが魅力的かどうか?」ってことだと思うんですが、「スプライス」はその点では成功しているというか。“人間とその他もろもろの生き物の遺伝子を合成して造られたハイブリッド・アニマル=キメラ”であるドレンは、その成長過程も含めて、非常に魅力的に描かれていたと思います。ネットで拾ったドレンの画像を適当に貼りますね↓


最初はモロに男性器+精子っぽい造形でしたが、脱皮して「スターウォーズ」のAT-STっぽくなりました。
小さいころのドレン

成長すると腕が生えて、人間の子どもに近い感じに。中の人(アビゲイル・チュ)、頑張ったネ!
ちょっと成長したドレン

さらに育つと肉を食べるようになったり…。
肉食ドレン

“女”としても目覚めたりするんですね。
女になったドレン

演じたデルフィーヌ・シャネアックはこんな感じ。あら、美人さんね~(おばさん風に)。
あら、美人さん


僕的に連想したのは「スピーシーズ」とか、お馴染みの「フランケンシュタイン」(ロバート・デ・ニーロのやつ)くらいなんですが、いつも素敵な“イラスト+映画評”を描かれてる三留まゆみさんが「映画秘宝 2011年 02月号」で“科学者カップルの系譜”的な感じで「エンブリヨ」「デモン・シード」「ドクター・モローの島」などの作品を挙げられていたのは勉強になりました。ちなみに主人公たちの名前は「フランケンシュタインの花嫁」から拝借しているんだとか。

まぁ、基本的に「人間が勝手な都合で新しい生命体を造って、結局、うまくいきませんでした」的な話は腐るほどあるということで、だからこそクリーチャーの魅力が最重要ポイントであって…な~んてことは、僕が偉そうに書く以前にみなさんも分かってますよね。その点では、ドレンは実にグロい&可愛いデザインであり、それを自然に見せるCGの技術も素晴らしくて、本当に感心させられましたよ。

最終的には、男性化して攻撃的になったドレンが暴走して、すったもんだの挙げ句にエルザはレイプされて、クライブは死亡。エルザが何とか殺すものの、レイプされた際にドレンの子どもを身ごもっていて(ドレンにはエルザのDNAが入っているので、近親相姦的な感じ)、その子を産むことを決意したエルザがゲンナリムードで会社と契約して終了(会社のお偉いさん(シモーナ・メカネスキュ)もさすがに「堕ろしてもいいのよ?」的な感じ)。非常に分かりやすいストーリーで、それなりには満足できましたよ。

ただ、「スゲー惜しい!」とも思ってまして。僕的にはドレンの造型が結構ツボに入ったし、ドレンを猫可愛がりしてたエルザが次第に意地悪になっていく展開も好きで、途中で「これからどうなるんだろ (*゚∀゚)=3」と過剰に期待しちゃったのもあって、正直、クライマックスが“クリーチャー映画のいつものパターン”になっちゃったのが結構残念だったんですよね。男性化した姿もなんかショボかったし(“完璧な存在”というなら、両性具有にすれば良いのにと思ったり)、クライブが懐中電灯を池に落として引きずり込まれたりするくだりは心から不要に感じたし…。

大体、ドレンが男性化する展開は、一応、人の遺伝子が混ざっていないクリーチャーのジンジャーとフレッドを使って伏線を張ってましたけど、ちょっとミエミエすぎというか。そもそもジンジャーが雄化した理由がよく分からないから(「雄同士の生物を同じ箱に入れていたら、生殖活動のために片方が雌化した」という理屈ならまだ納得できる)、終盤、ドレンを暴走させるためのフラグっぽく見えちゃったんですよね。というか、晴れの舞台でジンジャーとフレッドを交尾させようとしたら殺し合っちゃって大変なことになってましたけど、そもそも片方が雄化したことくらい誰か気付けって思ったり…(劇中でもクライブが同じようなことを言ってましたけど)。


ジンジャーとフレッド。ジンジャー・ロジャースとフレッド・アステアからのネーミングだとか。
悪趣味な造形


僕は、エルザがドレンを縛り付けて尻尾を切断するシーンでは激怒したんですが(「てめぇ!」「せめて麻酔くらいしろよ!」と怒り狂った時点で、すっかり監督の手のひら状態ですな)、一方では「これは面白い展開ですな!」とも感じたりして。「人間の方がモンスターだった!」的な流れとか、遺伝子操作の倫理的な問題とかをより分かりやすく残酷な視点で描くのかと思って(いや、これもありがちではありますけど)、さっきも書きましたけど、その着地点に過剰な期待を抱いちゃったんですよね…。終盤がああいう展開になるなら、エルザが虐待されてた設定も別にいらなかったような気すらするんですが…どうでしょうか。

ちなみに、エイドリアン・ブロディは、ジャンル映画だろうと何だろうと、どんな作品に出てもちゃんとハマッてる気がしますな。サラ・ポーリーも良い感じにイヤな感じでしたね。そして、ドレンを演じたデルフィーヌ・シャネアックも素晴らしかったです。クライブとドレンのセックスシーンはかなり引いたので(クライブもフェロモン的な何かに誘惑されたんだと思いますが、自分にそういう嗜好がないことをあらためて実感)、オッパイ自体にありがたみはまったく感じませんでしたが、彼女の頑張りには敬意を表したいですな。


クライブとドレンのセックスシーン。絶頂時に羽根を広げるのはやりすぎと思うけど、ちょっと愉快。
セックス騎乗位のドレン


というワケで、文句も書いちゃいましたけど、ジャンル映画としては十分面白いし、そんなに嫌いじゃない作品でした。特にドレンは本当に良いクリーチャーというか、幼体から少女あたりまでは“萌え”すら感じました。そんなに期待しなければ、それなりに満足できる気がするので、興味がある人はチェックしてみてはいかがでしょうか。

宇多丸師匠の批評が実にタメになるので、興味がある人は聴いてみてくださいな。




ビンチェンゾ・ナタリ監督の出世作。実はこの監督の映画はこれしか観てないんですよね…。



エイリアンがセックスしたくて街中を走り回る映画…だったような。結構面白かったです。



ケネス・ブラナー監督、ロバート・デ・ニーロ主演。終盤のヘレナ・ボナム=カーターの描写が悲惨すぎて好き。

テーマ : 映画感想 - ジャンル : 映画

2011/07/24 19:47 | 映画(2011)TRACKBACK(0)  TOP

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