セデック・バレ 第一部 太陽旗(ネタバレ)
セデック・バレ 第一部 太陽旗
原題:賽克・巴 太陽旗/Warriors of the Rainbow I : Sun Flag
2011/台湾 上映時間144分
監督・脚本・編集:ウェイ・ダーション
製作:ジョン・ウー、テレンス・チャン、ホァン・ジーミン
撮影:チン・ディンチャン
プロダクションデザイン:種田陽平
美術プロデューサー:赤塚佳仁
音楽:リッキー・ホー
アクション監督:ヤン・ギルヨン、シム・ジェウォン
出演:リン・チンタイ、ダーチン、安藤政信、マー・ジーシアン、ビビアン・スー、木村祐一、ルオ・メイリン、ランディ・ウェン、河原さぶ、シュー・イーファン、スー・ダー、春田純一、ティエン・ジュン、リン・ユアンジエ、松本実、田中千絵
パンフレット:★★★(800円/第一部&第二部をまとめた内容。なかなか読み応えアリ)
(あらすじ)
昔から台湾の山岳地帯で生活している狩猟民族、セデック族。日本の統治下でセデック族の人々は野蛮人とさげすまれる一方、日本人化を推し進める教育などを受けることを余儀なくされた。統治開始から35年がたったある日、日本人警察官とセデック族が衝突したことをきっかけに、ついにセデック族は戦うことを決意。セデック族の頭目、モーナ(リン・チンタイ)を中心に、日本人を襲撃するが……。(以上、シネマトゥデイより)
予告編はこんな感じ↓
80点
※今回の記事は、グロ画像などが貼ってあるので、そういうのが苦手な人は気をつけて!
基本的には“2本合わせて1本の映画”って感じなんですけど、一応、別々に感想を書きますね。確か結構前に映画秘宝か何かで「台湾版『アポカリプト』だッ!ヽ(`Д´)ノ」なんて取り上げられた時に興味を持ちまして。さらに尊敬する映画評論家の町山智浩さんが「たまむすび」で紹介されたのを聴いて、期待が膨らんだりしてね。日本版ポスターに出てるオッサンのコクのある顔も素敵だし、タイトル自体もマイケル・パレっぽくて親近感が湧くし…(余計な文章)。前売り券を買って、公開をずっと楽しみにしてたんです。
ちなみに、日本版のポスターはこんな感じでございます。この顔、渋すぎる!Σ(゚д゚;)
全然関係ありませんが、「ドルフ・ラングレン ガーディアン」で景気よく爆散するマイケル・パレのGIFを貼っておきますね。
だがしかし! なかなか時間が取れなくて、結局、観に行ったのは公開から10日以上経ってからという体たらく。渋谷のユーロスペースに行って来たんですが、感想は「後味悪いなぁ… (´Д`;)」って感じでした。ちなみに劇場は満員でしたよ。
前売り券は2回に分けて使える仕様なんですが、これだと第二部からは観られないっぽい…というひねくれた指摘。
記事の切り抜きも貼られてましたよ。
この「セデック・バレ」は、いわゆる霧社事件を描いた作品でして。それがどういうものだったのかは、便利すぎて仕方がないwikipediaなどをチェックしてもらえればと思うんですが、簡単に書くと、1930年、日本に占領された台湾で、日本人にバカにされまくってた原住民たちが蜂起→134名の日本人を殺害した事件。主人公はその暴動を画策したセデック族の頭目モーナ・ルーダオで、第一部は彼が初めて対立する部族の首を狩って“勇者”になるところから、日本軍に負けて占領され、そして35年後に暴動を起こして日本人を大量殺戮するまでを描いてました。
もうね、いろいろと褒めたいところは多いんですけど、まず役者がスゴかったです。なんと言っても素晴らしかったのが、壮年期のモーナ・ルーダオを演じたリン・チンタイ! コクがありすぎる顔&演技であり、さぞ年期の入った役者さんなのだろうと思いきや! 本業は牧師であり、しかも「映画秘宝 2013年 05月号」によると、台詞は「言葉の意味もわからずに発音を丸暗記しただけだった」そうで…。それであの恐ろしいほどの説得力を醸し出してたんだからビックリですよ。その他の台湾側キャストも、基本的に原住民の子孫を起用しただけに、かなりリアルというか、スゲー本物っぽかったです。
リン・チンタイ、こんな怖い顔の牧師がいて良いのかと思ったり。
日本人側も良かった! 特に今回、最大のヒールとなる吉村巡査を演じた松本実さん、超イヤな奴でしたね~(褒め言葉)。あの偉そうな態度がムカついてムカついて仕方がなくて…。正直、殺される時のアッサリ塩味具合が残念で、もっと丁寧にミリ単位で拷問されて殺されてほしいほど憎らしかったです。あと、原住民に理解がある小島巡査(安藤政信)の息子がセデック族に対して「お前らの狩り場は日本人のモノじゃないか!」なんてスゲー生意気なことを言うシーン、日本人の“上から目線”が子どもにまでちゃんと浸透してるのがわかりやすくて、結構好きでしたよ。
暴動の原因となる吉村巡査。今年観た映画の中でもトップクラスのイヤな奴でしたぞ。
僕が最もグッときたのは、山の中での台湾原住民vs日本軍の戦闘描写! リアルだしハードだし危険そうだし疾走感に溢れてるしと、褒めるところしかないレベルというか。アクションを担当したのは「オールド・ボーイ」などで知られるヤン・ギルヨン&シム・ジェウォンという人だそうですが、超センスありましたYO!ヽ(`Д´)ノ ここの戦闘シーンは、マジで何度でも観たいほど楽しかったです。
vs日本軍! 若いころのモーナ・ルーダオ役のダーチンも躍動感があって素敵なのです。
そして、クライマックスの運動会での大虐殺絵巻も予想以上にスゴかったなぁと…。ゴア描写自体は抑えめというか、出草(首狩り)もそんなにグロくはないものの、こんな凄惨な出来事をよくぞ映像化しましたよ。正直、それまで散々日本人の横暴に耐えるセデック族を観てたので、「やっちまえ!ヘ(゚∀゚*)ノ ホエホエ!」気分を堪能できるかと思ってたら、全然そんなことはなくて。スローを入れたり、哀しげな歌を入れたりと、情緒的に演出することで凄惨さを薄めようとしたのかもしれませんが、僕にはあまり効果がなかったです。本当なら大好物のはずだったのに、こういうリアルなムードの作品の中で、ほぼ一方的な殺戮を見せられるのは思ってたよりキツくて、凄まじくゲンナリしちゃった次第 (´・ω・`) ウーン
運動会襲撃シーン、予想はしてたものの、女性と子どもまで殺されるのはツラかったですね…。
つーかね、二部構成の第一部だから仕方ないんですけど、単体で評価すると、この殺戮エンディングはマジ凹む ('A`) 144分の長さに付き合って、カタルシスがないままダウナー状態で終わっちゃうって、何ともやりきれないじゃないですか。まぁ、すぐに第二部を観れば良かったのかもしれませんが、僕はどうにも続けて観る心境にはなれなくて、思わず気晴らしに3回目の「ラストスタンド」を観に行ったというね… (・ε・) ナニコノオチ で、結局、続きを観たのは5日後だったんですが、それはまた別のお話 (o^-')b ツヅクヨ!
ウェイ・ダーション監督のデビュー作。この作品も日本と台湾の関係を描いてるそうな。
台湾原住民を映した音楽ドキュメンタリー。ちょっと観たい。
詳細はwikipediaを読んでいただければと思うんですが、こういう映画もあったんですね~。
イヤな日本軍が出てくる映画を貼っておきますね。クライマックスの殺戮にはドン引きでしたよ。
イヤな日本軍映画をもう1本。「皮を剥げ!」と言われるところとか、本当にキツかったなぁ…。
2013/05/11 00:08 | 映画(2013) | TRACKBACK(0) TOP
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)