37セカンズ 37seconds(ネタバレ)
2019/日本、アメリカ 上映時間115分
監督・脚本・企画・プロデューサー:HIKARI
企画・プロデューサー:山口晋
エグゼクティブプロデューサー:住友大祐、山形龍司、中瀬古優一
シニアプロデューサー:土屋勝裕
共同プロデューサー:松平保久 淺見朋子
協力プロデューサー:柳本千晶、岩堀恭⼀、岩堀昭
ラインプロデューサー:小泉朋
撮影:江崎朋生、スティーブン・ブラハット
照明:三善章誉
録音:石貝洋
美術:宇山隆之
ヘアメイク:百瀬広美
スタイリスト:望月恵
編集:トーマス・A・クルーガー
音楽:アスカ・マツミヤ
挿入歌:CHAI
助監督:二宮孝平
VFXスパーバイザー:小坂一順
キャスティング:おおずさわこ
スクリプター:樽角みほり
制作担当:岡本健志
出演:佳山明、神野三鈴、大東駿介、渡辺真起子、熊篠慶彦、萩原みのり、芋生悠、渋川清彦、宇野祥平、奥野瑛太、石橋静河、尾美としのり、板谷由夏
パンフレット:★★★★(820円/関係者インタビューが充実。コラム2本も良かったです)
(あらすじ)
脳性麻痺の貴田夢馬(ユマ)は、異常なほどに過保護な母親のもとで車椅子生活を送りながら、漫画家のゴーストライターとして空想の世界を描き続けていた。自立するためアダルト漫画の執筆を望むユマだったが、リアルな性体験がないと良い漫画は描けないと言われてしまう。ユマの新しい友人で障がい者専門の娼婦である舞は、ユマに外の世界を見せる。しかし、それを知ったユマの母親が激怒してしまい……。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
95点
※本作については、すでに宇多丸師匠による的確かつ見事な時評がアップされているので、そっちを読んで!
「2020年2月公開で観たい映画の覚え書き」の「2/7〜8」のところに「10ミニッツ」はあるものの、本作を載せていないことからもお分かりのように、1ミリも興味がなかったというか。大体、何が37秒なのか知らないけどさ(苦笑)、障害者を描く映画なんて面倒くさそうだし、そんなの観る暇があるなら「どんな車でも60秒で盗み出す映画」とか「クズどもを19秒でブチ殺す映画」とか「スゴ腕スナイパー“2秒”に苦しめられる映画」でも観るし、超斬新なバンドデシネ「3秒」を読みますよって話。とはいえ、愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題作品になったということで、2月20日(木)、「付き合いだしな (゚⊿゚) シカタネーナ」と新宿ピカデリーで鑑賞してきました。「なんという人材… (°д°;)」と思ったり。
自販機でドデカミンストロングを購入。
9番スクリーン、観客は50人ぐらい。もち吉のいなりあげもちのCMが超旨そうでした。
「えっ、そんな映画だったっけ!? Σ(゚д゚;)」と二度見されそうなレベルで雑なあらすじを書いておくと、主人公は脳性麻痺の貴田夢馬(ユマ/佳山明)。過保護な母親・恭子(神野三鈴)と暮らしながら、高校からの親友で漫画家のサヤカ(萩原みのり)のゴーストライターとして活動するも、なんとなく鬱屈するエブリデイ (´・ω・`し ウーン そこで、母&サヤカから自立すべくアダルト漫画を描いてみたら、敏腕ムードの編集者・藤本(板谷由夏)に「リアルな性体験がないとダメ絶対!m9`Д´し ビシッ」と指摘されてしまったので、いざ夜の歌舞伎町へ!川*゚∀゚)=3 ヤッチャオーゼ! 出張ホスト・ヒデ(奥野瑛太)との初セックスには失敗するも、障害者専門デリヘル嬢・舞(渡辺真起子)や介護福祉士・俊哉(大東駿介)と知り合って、毎日が充実し始めるんですが、しかし。
恭子にバレてしまって、あーだこーだと揉めると、ユマは逃走!川`Д´)ノ アバヨ! 俊哉の助けを借りて、幼い頃に別れた父親を探してみたり(すでに死亡)、タイで教師として働く双子の姉・由香(芋生悠)に会いに行ったりしましてね。「生まれる時に呼吸が37秒間止まっていたせいで脳性麻痺になったけれども、それが自分で良かったというか、自分が自分であることを誇る!Σ(°д° し クワッ!」ってな調子で開眼したユマは、帰国すると母親とスムースに和解。そんな彼女があらためて描いた漫画は1ページ1ページがとてもふっくらツヤツヤしていたので、それを読んだ編集者・藤本ったら「面白い漫画を描く子がいるのよ (・∀・し イルノヨ」と知り合いの編集者に電話→なんとなく未来が明るいムードで終わってたような気がするね(突然、馴れ馴れしい文章)。
ということで聴いてください、K DUB SHINEさんで「ラストエンペラー」(ラジオパーソナリティ風の口調にドヤ顔を添えてーー)。
ハッキリ言って、素晴らしい作品でした。超良く出来ている上に面白くて、メッセージ性もしっかりしていて、「障害者の映画なんて面倒くさそう ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ」なんて心が狭いことを書いていた自分を恥じて、即座に舌を噛み切って死のうかと思いつつも遺される妻子の行方を案じて断念したほどでしたよ(面倒くさい文章)。まず、映画的なルックが良かった。母親が服を脱がしてお風呂に入るオープニングから「体が不自由な障害者のままならなさ」をサラリと描いていて、息を飲まざるを得ないというか。佳山明さんと神野三鈴さんが「お風呂に入るのだから脱いでますよ」と自然に裸を見せているのがまた偉いし(でも決してこれ見よがしではない)、この時点で「世界に通じる映画!Σ(゚д゚;)」って感心するほどでしたよ、マジで。
なんとなくHIKARI監督が撮ったCMを貼っておきますね↓
で、主人公が母親&サヤカによる日常の抑圧から解放される手段としての想像の世界をアニメーションで表現したり、その想像力の豊かさをビルの窓の明かりなどで見せたりとか、そういうのも本当に上手い。つーか、どうやらお父さんからもらったハガキ、お父さんへの想いとこの創作意欲っていうのが繋がっているんだ、というくだりをサラッと示す、本当に語り口のポップさ、そしてスマートさがね…という宇多丸師匠のPA-KU-RI!m9・∀・) ビシッ 今回が初めてという主演の佳山明さんの演技が100点というだけでなく、他の役者さんたちも素晴らしいし、非の打ちどころがゼロ状態。これが劇場長編作品デビュー作というHIKARI監督が逸材なだけでなく、僕的にはシンガポールと日本とフランスの合作映画「家族のレシピ」をプロデュースした山口晋さんが絡んでいるのも大きいんじゃないかと思ったり、思わなかったり (・ε・) ドッチダヨ
劇中で流れるアニメシーンを使ったMV。CHAIの曲も良いですな (´∀`) スキヨ
その他、思ったことを書いておくと、「佳山明さん、可愛いな… (´Д`;) ハァハァ」とか「ふとした会話や行動で母親の独善的な過保護振りを表していて上手い!」とか「サヤカがユマへのギャラをサッと減らすシーンがリアル」とか「サヤカ、討つべし!」とか「週刊のエロ漫画雑誌はないだろ」とか「サヤカが勝手に部屋に入ってくるシーンが苦手というか、体がままならないとプライバシーもないのね…」とか「サヤカの母親に引け目を感じている恭子の苦悩演技がイイ!」とか「ラーメンに、レモンを!? Σ(゚д゚;)」とか「大東俊介さん演じる俊哉が都合良い感じがしなくもないけど、逆にそういう優しい世界観という感じがしたので、まぁ、許す ( ´_ゝ`) エラソウ」とかとかとか。
ユマ役の佳山明さん、これからも頑張ってほしいですな。
って、ベタ褒めですけれども、実は大きな不満があって。「サヤカが無惨な死を遂げなかった」というのは仕方ないとして(不要な文章)。まず、「ムービーウォッチメン」でリスナーの「たくや・かんだ」さんが指摘されていたように、僕も「性経験がないといい漫画が描けない」というのはどうかと思いました。確かに今から30年前のエロ漫画は女性器の位置が不自然な場所に描かれていたりすることがあって、「この作者は僕と同じく女性器を見た経験がないのだな… (ノω・、) グスン」と、そっと涙を流したりもしましたが、今どき映像やら情報やら作品やらが溢れているのだからノー問題じゃないですか。主人公を冒険に導くための「背中を押すひと言」だから仕方ないにせよ、今どきちょっと乱暴に感じました。
ただ、それ以上に納得がいかなかったのが、出張ホスト描写ですよ。ごめんなさい、僕はこういうのって全然知識がないんですけど(苦笑)、まず、この手の風俗は「プレイ前に客が料金を払う」のが大前提というか、B.B.クイーンズが「エジソンは偉い人」と歌うレベルに常識な話。そして「プレイ前に両者ともシャワーを浴びる&うがいをする」のが当たり前だし、大体「今どき客にキスをしない出張ホストなんているの?」って思うし…。シチュエーション自体は面白いし、奥野瑛太さんの演技も素晴らしかっただけに、ディテールにリアリティを感じなくてガッカリした…って、僕はこういうのって全然知識がないんですけどね (ノ∀`) テヘ
これらのことは北辰館の堤城平さんが指摘されてました…という雑なウソ(「餓狼伝」より)。
って、アホな文章を書いちゃいましたが(汗)、主人公は障害者ながらも誰にも当てはまる普遍的な自己肯定の映画であり、とはいえ、非常に面白くて感動する障害者映画でしたよ。今年は「だれもが愛しいチャンピオン」とか「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」とか障害者を扱った良作が多いですな。何はともあれ、これが長編デビュー作というHIKARI監督には「なんという人材… (°д°;)」と心底驚かされたというか、これからの活躍に期待しております。現在、Netflixで配信中なのでね、気になる人はぜひ観てみてくださいな。おしまい。
山口晋さんがプロデュースしたエリック・クー監督×斉藤工さん主演作。僕の感想はこんな感じ。
なんとなく思いだした、とにかく評判の良い障害者映画。観なくては…。
障害者プロレスを扱ったドキュメンタリー。僕の感想はこんな感じ。
なんとなく貼ってみたニコラス・ケイジ主演作。パロディポルノの邦題は「69コカンズ」だったり (゚⊿゚) ナンダソリャ
2020/05/31 17:00 | 映画(2020) | TRACKBACK(0) TOP
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