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レ・ミゼラブル(2019年版)(ネタバレ)

<2020年6月6日に綴る、あなたのための前書き>


こんなブログにこの映画の感想を読みに来た時点で、あなたは「結構な映画好き」の方だとお見受けいたします。それを踏まえて、もしまだ本作を観ていなくて、暴力的な作品が大丈夫な人ならば、こんなネタバレ全開の駄文を読まずに、新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が解除されて営業が再開した映画館でぜひ観てほしいのです。本作はそれほど「衝撃の展開がーッ!(°д°;) ゲェーッ!」という作品ではないものの、とはいえ、ネタバレを知らないで観た方が絶対面白いし、間違いなく「今、観るべき映画」なのでね、まぁ、「トレーニングデイ」とか「エンド・オブ・ウォッチ」などを観るぐらいの気持ちで劇場に足を運んでいただければ幸いです。ちなみに僕的には現在、今年のベスト5に入れるぐらい好きです (´ε`) ウッフン









レ・ミゼラブル(2019)

原題:Les miserables
2019/フランス 上映時間104分
監督・脚本:ラジ・リ
脚本:ジョルダーノ・ジェデルリーニ、アレクシス・マネンティ
撮影:ジュリアン・プパール
編集:フローラ・ボルピエール
音楽:ピンク・ノイズ
出演:ダミアン・ボナール、アレクシス・マネンティ、ジェブリル・ゾンガ、イッサ・ペリカ、アル=ハサン・リ、スティーブ・ティアンチュー、ジャンヌ・バリバール、アルマミ・カヌーテ、ニザール・ベン・ファトゥマ
パンフレット:★★★★(820円/3本のコラムとキーワード解説が入ってて、映画の補完にオススメ)
(あらすじ)
パリ郊外に位置するモンフェルメイユの警察署。地方出身のステファンが犯罪防止班に新しく加わることとなった。知的で自制心のあるステファンは、未成年に対して粗暴な言動をとる気性の荒いクリス、警官である自分の力を信じて疑わないグワダとともにパトロールを開始する。そんな中、ステファンたちは複数のグループが緊張関係にあることを察知するが、イッサという名の少年が引き起こした些細な出来事から、事態は取り返しのつかない大きな騒動へと発展してしまう。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




97点


本日、2020年6月6日(土)、都内のほとんどの映画館の営業が再開されている…ということで! すぐに観られる作品の感想をアップしておきますね。今年の2月下旬公開なのに「2020年2月公開で観たい映画の覚え書き」でまったく触れていないように、観る気ゼロだったんですけれども。3月2日にTwitterを相互フォローしている「ヘソが無くて何が悪い」さんから「三角絞めさんなら絶対気に入ると思います!!」とプッシュされまして。さらに愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の「リスナー枠」に入ったのでね、「付き合いだしな (゚⊿゚) シカタナシ」と観ることに決定した…という、ありがちなパターン。

ということで、4月2日(木)、横浜のシネマ・ジャック&ベティメンズデー割引を利用して、「山中静夫氏の尊厳死」「わたしは分断を許さない」「娘は戦場で生まれた」と連続鑑賞いたしました(その後、そのまま「TRAVERSE トラバース」「9人の翻訳家 囚われたベストセラ−」をハシゴ)。「これで終いかよ!! Σ(°д°;) マジ!?」と思ったり。つーか、ここからネタバレ全開で感想を書きますけど、ああん、ごめんなさい、昨日から今日にかけて徹夜で観たばかりのドラマ版「ウォッチメン」のネタバレにも触れちゃうので、両方観ている方以外はこのページをさっさと閉じて、どっちも観てから読んで!m9`Д´) ビシッ


4月2日の飲食はすべてジャック&ベティで購入。スクリーン・ジャック、10人程度でしたよ。
2020年4月2日の横浜

鑑賞直後の僕の気持ちを代弁する加藤清澄を貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。
これで終いかよ!!


最初に若干のウソを交えながら適当にあらすじを書いておきますと。超有名な文学作品「レ・ミゼラブル」(フランス語で「惨めな人々」という意味)の舞台になったフランスはパリ郊外に位置するモンフェルメイユの警察署に、地方出身の“真面目刑事(デカ)”ステファン(ダミアン・ボナール)が赴任しまして。レ・ボスケ団地を管轄する犯罪対策班(BAC)に加わってみれば、「ポマード」なんて冴えないあだ名を付けられた上に、“荒くれ刑事(デカ)”のクリス(アレクシス・マネンティ)とグワダ(ジェブリル・ゾンガ)のパトロール振りが市民への威圧感全開すぎてゲンナリですよ ('A`) ゲンナリ そんな中、団地の不良少年イッサ(イッサ・ペリカ)が「ロマのサーカス団」の子ライオンを盗んだため、ロマたちが団地に襲来→団地を仕切るギャング“市長”(スティーブ・ティアンチュー)の一派と一触即発になり、犯罪対策班はイッサを探すことになるのです。


荒れまくっている地域に赴任してきたステファンが「一応の主人公」でして。
赴任してきた刑事ステファン

クズ刑事たちと一緒に子ライオンを探すことになるんですね。
ライオンを探せ!


本編の取り締まりシーン↓ 日本ではここまでクズな警官はいないと信じたい…。




で、何とかイッサを見つけたものの、周囲のガキどもがギャーギャー騒いだりして混乱状態になった時、グワダがイッサにゴム弾を発砲! イッサが昏倒する様子をドローン少年バズ(アル=ハサン・リが撮影していたため、今度はその撮影データが入ったSDカードを巡ってBACの3人と市長一派とのチェイスがスタートすると、最終的には“昔はワルだったけど今は真面目”が売りの「ムスリム同胞団」とボスのサラー(アルマミ・カヌーテ)がバズを匿うんですが…。2005年の暴動みたいになったら大変だよ (´・ω・)(・ω・`) ソウネ」という真心を込めた説得により、サラーはSDカードをステファンに渡すんですね。結局、至近距離で顔面にゴム弾を食らったイッサは何とか生きていたものの、怒りが収まらないロマのボスにライオンと同じ檻に入れられて失禁したりと、さらに散々な目に遭ってから、「撃たれたこと」は「なかったこと」になって解放されたのでした。


「警官が少年を撃つ」という衝撃的な映像を巡って、争奪戦が始まるのです。
動画があれば警察を潰せる!

ポマードによる必死の説得により、発砲動画は回収できたんですが…。
ポマードの説得


その後、実は「ゴム弾用の銃での誤射は構造上あり得ない」ということで、ステファンが2人きりでグワダを問いつめてみれば、「ムシャクシャしてやった。今は反省している (´・ω・`) ホントダヨ」ってな返答。とはいえ、団地には平和が戻った…と思いきや、イッサ feet.子どもたちが、イッサの件を「なかったこと」にしようとした大人たち全員を計画的に襲撃! BACの3人も罠にかかってしまい、団地内で窮地に陥る中、階段の上から火炎瓶を投げようとするイッサをステファンがテーザー銃で撃つかどうか迷った瞬間、いしだあゆみさんが「あなたなら、どうする? 川 ゚д゚)」と歌ったところで画面が暗転。 「友よ、よく覚えておけ、悪い草も悪い人間もない。育てる者が悪いだけだ」 なんて「レ・ミゼラブル」からの引用がテロップで出て、映画は終わってたんじゃないかしらん。


ここで、ここで映画は終わってしまうのです… (`Δ´;) ドウスレバ...
火炎瓶を持つ少年


ううむ、確かにスゴいというか。ラジ・リ監督は、映画の舞台となるモンフェルメイユ地区で育ったアフリカ系移民であり、「2005年パリ郊外暴動事件」についてのドキュメンタリーを撮って頭角を現したという筋金入りの男なだけに、舞台となる貧困団地の描写がとにかくリアルで、それだけでも感心するんですが…。逆に犯罪対策班の3人を演じた役者さんたちは「役者さんだな」感がある人ばかりなので、雰囲気的には「トレーニングデイ」とか「エンド・オブ・ウォッチ」っぽくて、意外と取っ付きやすい印象。描かれることも「善良な新入りがトンデモ地域巡りをする」というよくあるパターンなので(って、ステファンはのどかな地域にいただけで、ちゃんと経験は積んできているんですがー)、観客的にはステファン目線で地域の事情やら状況やらを説明されるから、映画としてスゲーわかりやすいし、これで終いかよ!! Σ(°д°;) マジ!?と思わされる凄まじいキレ味のラストも最高で、テーマがヘビーな割にはエンタメ的な面白さがしっかりあるんですよね。あの「パラサイト 半地下の家族」カンヌでパルムドールを争ったというのも納得というか、僕的にはこっちの方が好きでしたねぇ (´∀`) スキヨ


鑑賞直後はマジでこんな気持ちになるんですよね…。




で、そのテーマの見せ方も素晴らしい。本作の問題提起はいくつかあって。例えば、「警察による暴力」とか「貧困による治安悪化」とかについて考えさせられるのはもちろんなんですけど(特に最近発生した「米黒人男性拘束死事件」とか「クルド人暴行事件」とかは間違いなく連想すると思う)、それ以上に「『なかったこと』にする大人たち」の問題を扱っているんですよね。終盤、本作ではマトモな大人として描かれていたステファンすらも攻撃対象に入ってしまうのは、結局は彼だって「子どもたちを舐めてる」からなんですよ、残念ながら。もちろんイッサがやったことも悪いけど、「ゴム弾発砲」というどう考えても過剰な攻撃を「なかったこと」にするのは超ズルイし(まぁ、ステファンも最初は「ちゃんと報告しよう派」でしたがー)、ステファンみたいな奴に「君の怒りは分かるけど、今はガマンするしかないよ ( ´_ゝ`)」みたいなこと言われたってさ、被害者側からすれば、その「なぁなぁ」の不正義を何度ガマンすればいいんだよって。確か「アフター6ジャンクション」で紹介されたのがキッカケになって、少し前に「私たちにはことばが必要だ」というフェミニズム関連の本を読んだんですが、そこで著者が訴えていたことと一緒というか。そもそもの怒りの原因を作ったのは社会のマジョリティ側(本作では「大人たち」)なんだから、てめえらがしたり顔でこっちに「ガマンしろ」なんて言ってくるんじゃねぇよ…ってな話なんですよね、たぶん。


劇中の少年たちからすると、この愚地克巳気分だったんでしょうな…という伝わりにくい例え(「範馬刃牙」より)。
そーゆーのなめてるっていうんだよ


これって、自分に当てはめると難しいとは思うんですよ。例えば、家族が些細な罪を犯した時、それをスムースに告発するかといったら、かなり悩ましいじゃないですか…。ただ、社会正義や政治にまつわることについては、どう考えても「なかったこと」にするのはナシなんじゃないかなぁと。現在、幻冬舎と箕輪厚介さんが下請けに対するパワハラ&セクハラを「なかったこと」にしようと全力で頑張っているようですが、こういうのってバレた時点で“人間としての信用度”へのダメージが半端ないし、「『なかったこと』にしたことで得た成功体験」って間違いなく人間をクズにしていくし、その周囲への影響も良くないと思うんですよね…(だって、そんなことがまかり通る世の中なんて、バカバカしいものね)。昨日から今日にかけて観たドラマ版「ウォッチメン」(超面白い!)が、「愚民どもには黙っておこう」という原作の(良い意味で)モヤッとしていたラストをクリアにしてくれたこともあって、余計に「もうそういう時代じゃない」と思うようになったりもした次第。


ドラマ版「ウォッチメン」、最高でしたな…(しみじみ)。




つーか、本作は登場人物全員を「単純な悪」と描いていないのも良かったです(不良少年たちはネグレクト状態だし、クズ警官も家族には優しい)。だって現実もそうじゃないですか。例えば「クルド人暴行事件」とか、あの動画を見る限りでは警察の対応は酷いけど(僕も最初は「酷い」と思った)、クルド人が“思いっきり左側”である有田芳生議員のツイートのような行動を取っていたとするなら、もし僕があの現場の警官だったとしても間違いなく制圧するだろうし、とはいえ、そのことが明らかになる前から在日クルド人への差別的かつ陰謀論まみれのツイートがネットに垂れ流されていた状況を見れば、逆に「日常的に差別されてるんだな…」ということがビンビン伝わってくるから、そりゃあ在日クルド人たちはあの動画を見たら抗議デモするよなぁ…ってな調子で、単純に白と黒に分けられないじゃないですか。「Antifaが仕組んだ!」なんて、自宅にいながら簡単に見つかる「悪の組織」のせいにできれば、世の中はどれほどラクなのか…って、すみません、身の丈に合わない難しい話を書きすぎて、なんだか知恵熱が出てきましたーー ('A`) アタマイタイ






閑話休DiE!m9`Д´) ビシッ まぁ、ワケの分からぬことをダラダラと書き殴っちゃいましたが(苦笑)、ヘビーな問題提起をしてきていろいろと考えさせられるだけでなく「荒れた地域の警察モノ」としても普通に面白いという、非常に僕好みの映画でしたヨ (・∀・) ヨカッタ! 勧めてくれた「ヘソが無くて何が悪い」さんには感謝ですな…。何はともあれ、ラジ・リ監督はこれが長編デビュー作のようですが、これからも期待したいところでございます。おしまい。




パンフなどで引き合いに出されてたマチュー・カソヴィッツ監督作。観ておくと良いけど高値…。


非常に連想したアントワーン・フークア監督作。大好きです (°∀°)b オススメ!


映画の雰囲気的に連想したデビッド・エアー監督作。僕の感想はこんな感じ。


一応、映画版を貼っておきますよ。僕の感想はこんな感じ。







2020/06/06 22:00 | 映画(2020)TRACKBACK(0)  TOP

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