ボーダー 二つの世界(ネタバレ)
※本作は、ネタバレを知らないで観た方が絶対面白いものの、「観る人を選ぶ内容」のR18作品でもあるので、映画.comの説明などを読んで興味が湧いた方は、こんな駄文を読む前に映画を観てみて!
原題:Grans
2018/スウェーデン、デンマーク 上映時間110分
監督・脚本:アリ・アッバシ
製作:ニナ・ビスゴード、ペトラ・ヨンソン
製作総指揮:ミタ・ルイーズ・フォルデイガー・ソーレンセン、トマス・エスキルソン、ルイス・ティスネ、トマス・ガメルトフト
原作・脚本:ヨン・アイビデ・リンドクビスト
脚本:イサベラ・エクルーフ
撮影:ナディーム・カールセン
美術:フリーダ・ホアス
衣装:エルサ・フィッシャー
編集:オリビア・ニーアガート=ホルム、アナス・シュコフ
音楽:クリストファー・ベリ、マーティン・ディルコフ
出演:エバ・メランデル、エーロ・ミロノフ
パンフレット:★★★★(750円/3本のコラムはどれも良い感じながら、もっとネタバレ全開の作りでも良いと思うのです)
(あらすじ)
醜い容姿のせいで孤独と疎外感を抱える税関職員ティーナには、違法な物を持ち込む人間を嗅ぎ分けるという特殊能力があった。ある日、彼女は勤務中に奇妙な旅行者ボーレと出会う。ボーレに対し本能的に何かを感じたティーナは彼を自宅に招き、離れを宿泊先として提供する。次第にボーレに惹かれていくティーナだったが、ボーレにはティーナの出生にも関わる大きな秘密があった。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
80点
現在、愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」は、新型コロナウイルス云々のため、「新作DVD&Blu-rayウォッチメン」になってまして。本作が“今週の課題映画”になったということで、短めかつ適当な感想をアップしておきますね。「大好きな北欧ホラームービー『ぼくのエリ』の原作者ヨン・アイビデ・リンドクビストが原作&脚本を担当した」「ポスターの不穏な雰囲気」「捜査モノっぽい」ということで観る気マンマンでしてね。10月の公開日から2カ月経った12月19日(木)、キネカ大森で鑑賞いたしました。「こういう話!? Σ(゚д゚;)」とかなりビックリしましたよ。
3番スクリーン、 ほぼ満席でした。
原作者が「てめぇ、ブッ殺すぞ!( ゚д゚)」と怒りそうなほどにあらすじを雑に書いておきますと。スウェーデンの税関職員ティーナ(エバ・メランデル)は「罪のニオイ」を嗅ぎ取れる女(和田アキ子さんが「希望のニオイ」を嗅ぎ取れるように…という無駄な文章)。自分の醜さにコンプレックスを抱きながらも仕事に精を出していたんですが、ある日、税関で児童ポルノを所持していたクズ野郎を発見したことで、児童ポルノ組織の捜査に協力することになりまして。それと同時期、税関で「何らかのニオイがプンプン漂うものの何も発見できない謎の旅人」ヴォーレ(エーロ・ミロノフ)と知り合って恋に落ちてみれば、なんと自分が「トロル」だったことが判明するのです!Σ(゚д゚;し ナンデスッテー
能力を買われて、警察に協力することになったティーナ。
そんな中、ヴォーレと出会って「本当の自分」を発見するのです。
ティーナは、トロル的には自分が男性であり、ヴォーレは女性であって子どもを産める…といったことなどを学びまして。ろくでなしの彼氏を家から追い出して、ヴォーレと充実したトロルライフを謳歌しようと思いきや! なんとヴォーレったら「トロルをほぼ絶滅に追い込んだ人間どもへの復讐」として児童ポルノ制作&人身売買組織の運営に携わっていたから、「マジか!Σ(゚д゚;し ナンデスッテー」と。同胞を見つけられたことはうれしいけど、どうしても悪を許せないティーナは警察と結託してヴォーレを追いつめると、ヴォーレはフェリーから海へダイブ! その後、ティーナは育ての親に自分のルーツや“本当の両親”が名付けた名前「レーヴァ」を教えてもらったり、死んだ同胞の墓参りをすると、彼女の元に「ヴォーレが生んだレーヴァとの赤子(たぶん)」と絵葉書が届いて、映画は終わってたんじゃないかしらん。
正義の心を持つトロル、ティーナ/レーヴァ。超カッコ良かったです… (´Д`;) ステキ
ハッキリ言って、スゲー面白かった!ヽ(`Д´)ノ 僕的には、単に「超能力を持つ女性がおぞましい犯罪を捜査して…」的な話が繰り広げられるのかと思っていたら、「おとぎ話を現代風に解釈した物語」でもあり、「被差別者たちやアウトサイダーたちの反逆譚」でもあり、さらには「初めて大好きになった人が悪人でしたストーリー」だったりもしつつ、何よりも「“本当の自分”を解放する映画」でもあったから(「アナと雪の女王」の1と2を足したような内容と言えなくもない)、本当に驚かされたというか。しかも、題材が「トロル」というのもツボで、「もし本当にトロルがいたら?」という作品では「トロールハンター」というモキュメンタリーが大大大大大大大好きなんですけど、本作はそれとはまた違った“リアルな切り口&解釈”が最高だったんですよね…(特に「取り替え子」がおぞましく描かれてたのが好き)。
この「取り替え子」描写、ちょっと怖かったです… ('A`) イヤーン
映画的にも地に足が着きながらも幻想的なビジュアルが良かったし、ティーナが向き合うことになる事件が最悪すぎるのもストライクだったし(「北欧の犯罪描写」って独特な冷たい雰囲気があって好き)、トロルを演じた2人ったら特殊メイクをしているにもかかわらず、見事な演技でしてね…(なんと2人とも役作りのため20キロも増量したとか!)。特に「森の中の全裸ダッシュ」はなかなかの名場面だと感心いたしました。なんて言うんですかね、僕の生涯ベスト絵本は「三びきのやぎのがらがらどん」でしてね。前は単にゴア描写とかエンタメ的に好きだったんですが、最近は少しトロルの心情に思いを馳せることも多くなっていただけに、本作でトロル側の視点を堪能できたのは、非常に良い映画体験でしたよ… (ノω・、) トロル...
僕はこの「肉片が渦巻くゴア描写」が大好きだったんですけど…(「三びきのやぎのがらがらどん」より)。
最近は、トロルはどんな気持ちだったのかを考えたりするのです(「三びきのやぎのがらがらどん」より)。
鑑賞後、元になった短編小説を読んだんですが、よくまぁこんな話を映像化しようと思ったというか、見事に映像化したというか(原作者のヨン・アイビデ・リンドクビストも脚本に絡んでるそうな)。アリ・アッバシ監督の前作「Shelley」もホラーっぽい映画みたいですけど、ちょっと観たくなりましたよ。ただ、こんなにベタ褒めなのに80点なのは、生きたまま食べちゃうアグレッシ部すぎな昆虫食描写とか、トロル同士のセックス描写とかが生理的に超キツかったからーー (ノД`) アァン それ以外の部分は本当に面白かったし、僕的にはむしろトロル捜査官ティーナを主人公にした続編が観たいほどなんですけどねー。そんなワケで、チョキン、パチン、ストン。話はおしまい (・∀・) オシマイ
すでに配信されていて、ソフトも販売中なのです。
本作の元になった話が収められている短編集。面白いです。
ヨン・アイビデ・リンドクビストの有名な小説。僕は映画版の方が好きです (〃∇〃) スキヨ
僕が初めて「トロル」の存在を知った本。娘が芝居を演じた時の感想はこんな感じ。
トロルを狩るハンターのモキュメンタリー。僕の感想はこんな感じ。
2020/06/05 18:00 | 映画(2019) | TRACKBACK(0) TOP
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