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初恋(ネタバレ)

※今回の記事は、本作が好きな人は怒る可能性があるので、読まない方が良いです。








初恋

初恋

2019/日本 上映時間115分
監督:三池崇史
脚本:中村雅
企画:紀伊宗之
プロデュース:紀伊宗之
プロデューサー:ジェレミー・トーマス、坂美佐子、前田茂司、伊藤秀裕、小杉宝
共同プロデューサー:飯田雅裕
ラインプロデューサー:今井朝幸、青木智紀
キャスティングプロデューサー:山口正志
撮影:北信康
照明:渡部嘉
録音:中村淳
美術:清水剛
装飾:岩井健志
ヘアメイク:石部順子
編集:神谷朗
音楽:遠藤浩二
音楽プロデューサー:杉田寿宏
VFXスーパーバイザー:太田垣香織
キャラクタースーパーバイザー:前田勇弥
画コンテ:相馬宏充
スーパーバイジングサウンドエディター:勝俣まさとし
スタントコーディネーター:辻井啓伺
カースタント:雨宮正信、野呂真治
俳優担当:平出千尋
助監督:山口将幸
制作担当:鈴木勇
出演:窪田正孝、大森南朋、染谷将太、小西桜子、ベッキー、三浦貴大、藤岡麻美、イエン・ジンクォク、トゥアン・ジュンハオ、矢島舞美、出合正幸、村上淳、滝藤賢一、ベンガル、塩見三省、内野聖陽、三元雅芸、内田章文、小柳心、山中アラタ、谷嶋颯斗
パンフレット:★★★(850円/画コンテがカッコ良かった!)
(あらすじ)
天涯孤独の身で類まれな才能を持つ天才ボクサーの葛城レオ(窪田正孝)は、試合でまさかのKO負けを喫し病院へとかつぎこまれた。医師から自分の余命がわずかであるという事実を突きつけられ、自暴自棄になりながら歌舞伎町の街を歩くレオの目に男に追われる少女モニカ(小西桜子)の姿が飛び込んでくる。ただごとではない様子からレオが反射的にパンチを食らわせた男は、ヤクザと裏で手を組む悪徳刑事・大伴(大森南朋)だった。モニカは親の虐待から逃れるため歌舞伎町に流れ着き、ヤクザにとらわれていたという。レオは彼女を救うことを決意するが、その選択はレオがヤクザと大伴から追われる身となることを意味していた。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




70点


本作については、三池崇史監督作だから気にはなりつつも、「初恋」というタイトルがピンとこなくてね。「2020年2月公開で観たい映画の覚え書き」では「一応観たい」程度の気持ちだったんですけれども。Twitterで相互フォローしている方々の評判が結構良かったので観ることに決定。4月6日(月)、仕事帰りに丸の内TOEIにて、通常料金1800円を支払って、劇場で売られていたチキン&ポテトなどを摂取しながら鑑賞いたしました(その後、新宿に移動して「スウィング・キッズ」をハシゴ)。「こんなものじゃないーー (`・ω・´)」と思ったり。


4月6日のgif。新型コロナウイルス云々のせいもあったのか、観客は4人でした。
4月6日(月)のgif

鑑賞直後の僕の気持ちを代弁するイゴーリー・ボブを貼っておきますね(「餓狼伝」より)。
こんなものじゃないーー


とりあえずお話を雑に書いておきますと、インテリヤクザの加瀬(染谷将太)が悪徳刑事の大伴(大森南朋)と組んで「“ブツ”を強奪→その罪を敵対するチャイニーズマフィア&シャブ漬け売春婦のモニカ(小西桜子)に押し付ける」という計画を立案・実行するんですけど、偶然、通りかかった“脳腫瘍と診断されて自暴自棄になっている孤児のボクサー”葛城レオ(窪田正孝)がモニカを助けたことで、レオとモニカは加瀬と大伴、さらにヤクザやチャイニーズマフィアにも追われることになるのです。で、最終的には「ユニディ狛江店」を舞台に殺し合いが勃発して、レオとモニカと“昔ながらのヤクザ”権藤(内野聖陽)だけが生き残りまして。権藤の計らいにより、警察の手を逃れたレオとモニカは2人で新生活をスタート。レオはボクシング道を邁進し、モニカは頑張ってシャブを抜いて、めでたしめでたし…って感じでしたよね、たぶん (´Д`;) ジシンナシ


この2人がアパートで新たな人生を始めるムードで終わるのです。
モニカとレオ


まぁ、昔の三池崇史監督が得意としていた「犯罪バイオレンス群像劇」というか。パンフの監督&脚本家インタビューによると、本作は「往年のVシネマ時代のような作品(『DEAD OR ALIVE 犯罪者』など)を作る」「窪田正孝×『DOA』といったコンセプトでスタートしたそうで。これまたパンフで竹内清人さんが書かれていたように、僕的にも「新宿歌舞伎町を舞台にした『トゥルー・ロマンス』といった印象を受けました(つーか、本作を観て連想した人は多いハズ)。終盤、一部がアニメーションになったあたりは、ちょっと「ナチュラル・ボーン・キラーズ」を思い出したりもしたかなぁ。何はともあれ、僕は「DEAD OR ALIVE 犯罪者」「トゥルー・ロマンス」も好きなのでね(苦笑)、そりゃあ面白かったですヨ (´∀`) ウフフ

役者さんたちは本当に良くて。まず、孤独なボクサーを演じた窪田正孝さん、精悍でカッコ良かったし、「実は脳腫瘍じゃなかった」ことが判明してからの「死ぬ気になれば何でもできる!(`Δ´;)」と自分を鼓舞するところはスゲー可愛かったです。僕的に一番笑ったのは“クズでヘタレだけど必死にサバイブするインテリヤクザ”を演じた染谷将太さんで、悪徳刑事役の大森南朋さん“昔ながらのヤクザ”役の内野聖陽さんなどが脇を固める中、新人の小西桜子さんも体を張って見事にモニカ役を演じてましたな(ちょっと前田敦子さんに似てて好き)。あと、ヤクザの幹部を演じた出合正幸さんが良い感じに怖かったです。

ただ、本作を観たほとんどの方がそうだと思うんですけど(微笑)、何よりも感心したのが、ヤクザの彼氏(三浦貴大)を加瀬に殺されて復讐鬼になったジュリ役のベッキーさん! 殺し屋を素手で返り討ちにする格闘シーンは本作の白眉であり、爆破から脱出するシーンも最高だったし、今後もこの路線で頑張ってほしいと心から思いましたよ (°∀°)b ヨカッタ! その他、モニカが見る幻覚の父親(性的虐待をしていたクズの中のクズ)を演じた山中アラタさんも実にナイスな佇まいで、非常に好感を持ちましたねぇ…(しみじみ)。


恋人には一途なジュリ、恐ろしくて良かったです。ベッキーさん、これからもこんな役を!
狂暴なベッキー

山中アラタさん演じるモニカの父親。三池監督はこういう演出がスゲー上手いと思う。
山中アラタ


歌舞伎町での撮影は「お手の物」って感じで良かったし、首が転がったりとかゴア描写もあるし、予想出来ない展開にはなかなかハラハラさせられたし、「社会のはぐれ者同士が寄り添って暮らす」という優しくて温かいラストには涙が流れたし、好きなところだらけの映画ではあるんですけれども。正直なところ、鑑賞前に「絶賛の声」を聞きすぎて期待値が上がりすぎたのか、意外と物足りない僕もいたのだから、人間とは面倒くさい生き物、ですな(勝手に多くの人を巻き込んだ文章)。ううむ、ストレートな不満を書くと、警察絡みの描写については気にしないとしても、終盤に「ユニディ狛江店」で繰り広げられるアクションがイマイチだったなぁと。

たぶん「実際のお店を借りている上に予算も時間もない→練ったアクションができない」という事情があるのかもしれませんが、ホームセンターならではの戦闘がもっと観たかった…というのは贅沢でしょうか。染谷将太さんが薬物のせいで「撃たれても大丈夫モード」になったのは愉快でしたが、終盤のタイマンシーンは全体的にそれほど良くなかったし…。それと最後、警察の包囲を破るシーンをアニメにしたのは、三池監督にも言い分があるみたいですけど、ごめんなさい、僕は予算&アイデア不足を誤魔化しているように見えて、かなり萎えた次第 (´・ω・`) ガッカリ


いろいろ事情はあると思うんですがー。




とはいえ、僕が最も失望したのは、新しいボクシングアクションが観られなかったこと。僕は別にボクシングファンではないんですが(汗)、漫画や映画などでボクサーを観るのは大好きなので、「本作の主人公がボクサーで、ヤクザと敵対する」と知った瞬間、新しい“何か”が観られるんじゃないかと。ヤクザを前にして戦闘力を全開にするボクサーが観られるんじゃないかと、ボクサーが素手で人を撲殺しまくるアクションが観られるんじゃないかと、スゲー期待しちゃったんですよね…。


ヘヴィ級チャンピオンこそ、
武器を持たぬ、もっとも恐るべき、
生きた殺し屋なのである。
その両手が、くたびれはてて
動かぬようになるまで、
優に五十人は殺すことが
できるだろう。
いや、百人近く片づけることが
できるかもしれないぞ。
(訳・生島治郎 集英社刊より引用)


って、僕が上記の文章を知ったのは「グラップラー刃牙」29巻からなんですがー。
ヘヴィ級は殺し屋


そりゃあ本作の主人公はヘビー級ではありませんが、夢枕獏先生が編纂したアンソロジー「闘人烈伝―格闘小説・漫画アンソロジー」では、同じ体格ぐらいのボクサーが単身でヤクザの事務所に乗り込んで構成員を皆殺しにする話が載っていたし(うろ覚え)、高樹翎はジュニアライト級なのに素手で兵士を撲殺しまくっていたしボクサーなら、ボクサーなら、決してできないことではないのでしょう?(すがるような顔で) だから、本作葛城レオは確かにカッコ良かったけどさ、銃に頼ったりしたのは残念だったし(ウィービングで近付いて撲殺してほしい)、最後のチャニーズマフィアのボスとのタイマンも一撃で顔面を陥没させてほしかった…って、なんだか本作を好きな人から怒られそうな気がしたので、もうやめます (´∀`;) スミマセン


こんな葛城レオが観たかった…って、誰の共感も呼ばなさそうですな(「B.B.」より)。
撲殺する高樹翎


な〜んて、アホな文章を垂れ流しちゃいましたが、好きなところはスゲー多いし、基本的に面白い映画だったのは間違いないです。ただ、三池監督なら「もっともっとできるはず」というか、「こんなものじゃないーー (`・ω・´)」とも思っちゃったんですよね…。なんかね、偉いお金持ちが三池監督にたくさんお金をあげてくれたらいいのにな、そうだったらいいのにな。そんなワケで、変な期待を抱かなければ、普通に楽しめるバイオレンスムービーなので、未見の方は観てみてくださいな (・∀・) オシマイ




ソフトは7月8日に発売予定なのです。


ノベライズが出てました。漫画版もあります。


遠藤浩二さんによる本作のサントラでございます


引き合いに出されていた三池崇史監督作。今観てもスゲー面白いですな。


引き合いに出されていたトニー・スコット監督作。脚本を書いたのはクエンティン・タランティーノでございます。


三池崇史監督のヤクザ映画はこれも好き。僕の感想はここの1本目。リージョンコードに気をつけて!


実は最近一番好きな三池崇史作品はこれなのです (〃∇〃) ウフフ








2020/06/08 23:00 | 映画(2020)TRACKBACK(0)  TOP

レ・ミゼラブル(2019年版)(ネタバレ)

<2020年6月6日に綴る、あなたのための前書き>


こんなブログにこの映画の感想を読みに来た時点で、あなたは「結構な映画好き」の方だとお見受けいたします。それを踏まえて、もしまだ本作を観ていなくて、暴力的な作品が大丈夫な人ならば、こんなネタバレ全開の駄文を読まずに、新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言が解除されて営業が再開した映画館でぜひ観てほしいのです。本作はそれほど「衝撃の展開がーッ!(°д°;) ゲェーッ!」という作品ではないものの、とはいえ、ネタバレを知らないで観た方が絶対面白いし、間違いなく「今、観るべき映画」なのでね、まぁ、「トレーニングデイ」とか「エンド・オブ・ウォッチ」などを観るぐらいの気持ちで劇場に足を運んでいただければ幸いです。ちなみに僕的には現在、今年のベスト5に入れるぐらい好きです (´ε`) ウッフン









レ・ミゼラブル(2019)

原題:Les miserables
2019/フランス 上映時間104分
監督・脚本:ラジ・リ
脚本:ジョルダーノ・ジェデルリーニ、アレクシス・マネンティ
撮影:ジュリアン・プパール
編集:フローラ・ボルピエール
音楽:ピンク・ノイズ
出演:ダミアン・ボナール、アレクシス・マネンティ、ジェブリル・ゾンガ、イッサ・ペリカ、アル=ハサン・リ、スティーブ・ティアンチュー、ジャンヌ・バリバール、アルマミ・カヌーテ、ニザール・ベン・ファトゥマ
パンフレット:★★★★(820円/3本のコラムとキーワード解説が入ってて、映画の補完にオススメ)
(あらすじ)
パリ郊外に位置するモンフェルメイユの警察署。地方出身のステファンが犯罪防止班に新しく加わることとなった。知的で自制心のあるステファンは、未成年に対して粗暴な言動をとる気性の荒いクリス、警官である自分の力を信じて疑わないグワダとともにパトロールを開始する。そんな中、ステファンたちは複数のグループが緊張関係にあることを察知するが、イッサという名の少年が引き起こした些細な出来事から、事態は取り返しのつかない大きな騒動へと発展してしまう。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




97点


本日、2020年6月6日(土)、都内のほとんどの映画館の営業が再開されている…ということで! すぐに観られる作品の感想をアップしておきますね。今年の2月下旬公開なのに「2020年2月公開で観たい映画の覚え書き」でまったく触れていないように、観る気ゼロだったんですけれども。3月2日にTwitterを相互フォローしている「ヘソが無くて何が悪い」さんから「三角絞めさんなら絶対気に入ると思います!!」とプッシュされまして。さらに愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の「リスナー枠」に入ったのでね、「付き合いだしな (゚⊿゚) シカタナシ」と観ることに決定した…という、ありがちなパターン。

ということで、4月2日(木)、横浜のシネマ・ジャック&ベティメンズデー割引を利用して、「山中静夫氏の尊厳死」「わたしは分断を許さない」「娘は戦場で生まれた」と連続鑑賞いたしました(その後、そのまま「TRAVERSE トラバース」「9人の翻訳家 囚われたベストセラ−」をハシゴ)。「これで終いかよ!! Σ(°д°;) マジ!?」と思ったり。つーか、ここからネタバレ全開で感想を書きますけど、ああん、ごめんなさい、昨日から今日にかけて徹夜で観たばかりのドラマ版「ウォッチメン」のネタバレにも触れちゃうので、両方観ている方以外はこのページをさっさと閉じて、どっちも観てから読んで!m9`Д´) ビシッ


4月2日の飲食はすべてジャック&ベティで購入。スクリーン・ジャック、10人程度でしたよ。
2020年4月2日の横浜

鑑賞直後の僕の気持ちを代弁する加藤清澄を貼っておきますね(「グラップラー刃牙」より)。
これで終いかよ!!


最初に若干のウソを交えながら適当にあらすじを書いておきますと。超有名な文学作品「レ・ミゼラブル」(フランス語で「惨めな人々」という意味)の舞台になったフランスはパリ郊外に位置するモンフェルメイユの警察署に、地方出身の“真面目刑事(デカ)”ステファン(ダミアン・ボナール)が赴任しまして。レ・ボスケ団地を管轄する犯罪対策班(BAC)に加わってみれば、「ポマード」なんて冴えないあだ名を付けられた上に、“荒くれ刑事(デカ)”のクリス(アレクシス・マネンティ)とグワダ(ジェブリル・ゾンガ)のパトロール振りが市民への威圧感全開すぎてゲンナリですよ ('A`) ゲンナリ そんな中、団地の不良少年イッサ(イッサ・ペリカ)が「ロマのサーカス団」の子ライオンを盗んだため、ロマたちが団地に襲来→団地を仕切るギャング“市長”(スティーブ・ティアンチュー)の一派と一触即発になり、犯罪対策班はイッサを探すことになるのです。


荒れまくっている地域に赴任してきたステファンが「一応の主人公」でして。
赴任してきた刑事ステファン

クズ刑事たちと一緒に子ライオンを探すことになるんですね。
ライオンを探せ!


本編の取り締まりシーン↓ 日本ではここまでクズな警官はいないと信じたい…。




で、何とかイッサを見つけたものの、周囲のガキどもがギャーギャー騒いだりして混乱状態になった時、グワダがイッサにゴム弾を発砲! イッサが昏倒する様子をドローン少年バズ(アル=ハサン・リが撮影していたため、今度はその撮影データが入ったSDカードを巡ってBACの3人と市長一派とのチェイスがスタートすると、最終的には“昔はワルだったけど今は真面目”が売りの「ムスリム同胞団」とボスのサラー(アルマミ・カヌーテ)がバズを匿うんですが…。2005年の暴動みたいになったら大変だよ (´・ω・)(・ω・`) ソウネ」という真心を込めた説得により、サラーはSDカードをステファンに渡すんですね。結局、至近距離で顔面にゴム弾を食らったイッサは何とか生きていたものの、怒りが収まらないロマのボスにライオンと同じ檻に入れられて失禁したりと、さらに散々な目に遭ってから、「撃たれたこと」は「なかったこと」になって解放されたのでした。


「警官が少年を撃つ」という衝撃的な映像を巡って、争奪戦が始まるのです。
動画があれば警察を潰せる!

ポマードによる必死の説得により、発砲動画は回収できたんですが…。
ポマードの説得


その後、実は「ゴム弾用の銃での誤射は構造上あり得ない」ということで、ステファンが2人きりでグワダを問いつめてみれば、「ムシャクシャしてやった。今は反省している (´・ω・`) ホントダヨ」ってな返答。とはいえ、団地には平和が戻った…と思いきや、イッサ feet.子どもたちが、イッサの件を「なかったこと」にしようとした大人たち全員を計画的に襲撃! BACの3人も罠にかかってしまい、団地内で窮地に陥る中、階段の上から火炎瓶を投げようとするイッサをステファンがテーザー銃で撃つかどうか迷った瞬間、いしだあゆみさんが「あなたなら、どうする? 川 ゚д゚)」と歌ったところで画面が暗転。 「友よ、よく覚えておけ、悪い草も悪い人間もない。育てる者が悪いだけだ」 なんて「レ・ミゼラブル」からの引用がテロップで出て、映画は終わってたんじゃないかしらん。


ここで、ここで映画は終わってしまうのです… (`Δ´;) ドウスレバ...
火炎瓶を持つ少年


ううむ、確かにスゴいというか。ラジ・リ監督は、映画の舞台となるモンフェルメイユ地区で育ったアフリカ系移民であり、「2005年パリ郊外暴動事件」についてのドキュメンタリーを撮って頭角を現したという筋金入りの男なだけに、舞台となる貧困団地の描写がとにかくリアルで、それだけでも感心するんですが…。逆に犯罪対策班の3人を演じた役者さんたちは「役者さんだな」感がある人ばかりなので、雰囲気的には「トレーニングデイ」とか「エンド・オブ・ウォッチ」っぽくて、意外と取っ付きやすい印象。描かれることも「善良な新入りがトンデモ地域巡りをする」というよくあるパターンなので(って、ステファンはのどかな地域にいただけで、ちゃんと経験は積んできているんですがー)、観客的にはステファン目線で地域の事情やら状況やらを説明されるから、映画としてスゲーわかりやすいし、これで終いかよ!! Σ(°д°;) マジ!?と思わされる凄まじいキレ味のラストも最高で、テーマがヘビーな割にはエンタメ的な面白さがしっかりあるんですよね。あの「パラサイト 半地下の家族」カンヌでパルムドールを争ったというのも納得というか、僕的にはこっちの方が好きでしたねぇ (´∀`) スキヨ


鑑賞直後はマジでこんな気持ちになるんですよね…。




で、そのテーマの見せ方も素晴らしい。本作の問題提起はいくつかあって。例えば、「警察による暴力」とか「貧困による治安悪化」とかについて考えさせられるのはもちろんなんですけど(特に最近発生した「米黒人男性拘束死事件」とか「クルド人暴行事件」とかは間違いなく連想すると思う)、それ以上に「『なかったこと』にする大人たち」の問題を扱っているんですよね。終盤、本作ではマトモな大人として描かれていたステファンすらも攻撃対象に入ってしまうのは、結局は彼だって「子どもたちを舐めてる」からなんですよ、残念ながら。もちろんイッサがやったことも悪いけど、「ゴム弾発砲」というどう考えても過剰な攻撃を「なかったこと」にするのは超ズルイし(まぁ、ステファンも最初は「ちゃんと報告しよう派」でしたがー)、ステファンみたいな奴に「君の怒りは分かるけど、今はガマンするしかないよ ( ´_ゝ`)」みたいなこと言われたってさ、被害者側からすれば、その「なぁなぁ」の不正義を何度ガマンすればいいんだよって。確か「アフター6ジャンクション」で紹介されたのがキッカケになって、少し前に「私たちにはことばが必要だ」というフェミニズム関連の本を読んだんですが、そこで著者が訴えていたことと一緒というか。そもそもの怒りの原因を作ったのは社会のマジョリティ側(本作では「大人たち」)なんだから、てめえらがしたり顔でこっちに「ガマンしろ」なんて言ってくるんじゃねぇよ…ってな話なんですよね、たぶん。


劇中の少年たちからすると、この愚地克巳気分だったんでしょうな…という伝わりにくい例え(「範馬刃牙」より)。
そーゆーのなめてるっていうんだよ


これって、自分に当てはめると難しいとは思うんですよ。例えば、家族が些細な罪を犯した時、それをスムースに告発するかといったら、かなり悩ましいじゃないですか…。ただ、社会正義や政治にまつわることについては、どう考えても「なかったこと」にするのはナシなんじゃないかなぁと。現在、幻冬舎と箕輪厚介さんが下請けに対するパワハラ&セクハラを「なかったこと」にしようと全力で頑張っているようですが、こういうのってバレた時点で“人間としての信用度”へのダメージが半端ないし、「『なかったこと』にしたことで得た成功体験」って間違いなく人間をクズにしていくし、その周囲への影響も良くないと思うんですよね…(だって、そんなことがまかり通る世の中なんて、バカバカしいものね)。昨日から今日にかけて観たドラマ版「ウォッチメン」(超面白い!)が、「愚民どもには黙っておこう」という原作の(良い意味で)モヤッとしていたラストをクリアにしてくれたこともあって、余計に「もうそういう時代じゃない」と思うようになったりもした次第。


ドラマ版「ウォッチメン」、最高でしたな…(しみじみ)。




つーか、本作は登場人物全員を「単純な悪」と描いていないのも良かったです(不良少年たちはネグレクト状態だし、クズ警官も家族には優しい)。だって現実もそうじゃないですか。例えば「クルド人暴行事件」とか、あの動画を見る限りでは警察の対応は酷いけど(僕も最初は「酷い」と思った)、クルド人が“思いっきり左側”である有田芳生議員のツイートのような行動を取っていたとするなら、もし僕があの現場の警官だったとしても間違いなく制圧するだろうし、とはいえ、そのことが明らかになる前から在日クルド人への差別的かつ陰謀論まみれのツイートがネットに垂れ流されていた状況を見れば、逆に「日常的に差別されてるんだな…」ということがビンビン伝わってくるから、そりゃあ在日クルド人たちはあの動画を見たら抗議デモするよなぁ…ってな調子で、単純に白と黒に分けられないじゃないですか。「Antifaが仕組んだ!」なんて、自宅にいながら簡単に見つかる「悪の組織」のせいにできれば、世の中はどれほどラクなのか…って、すみません、身の丈に合わない難しい話を書きすぎて、なんだか知恵熱が出てきましたーー ('A`) アタマイタイ






閑話休DiE!m9`Д´) ビシッ まぁ、ワケの分からぬことをダラダラと書き殴っちゃいましたが(苦笑)、ヘビーな問題提起をしてきていろいろと考えさせられるだけでなく「荒れた地域の警察モノ」としても普通に面白いという、非常に僕好みの映画でしたヨ (・∀・) ヨカッタ! 勧めてくれた「ヘソが無くて何が悪い」さんには感謝ですな…。何はともあれ、ラジ・リ監督はこれが長編デビュー作のようですが、これからも期待したいところでございます。おしまい。




パンフなどで引き合いに出されてたマチュー・カソヴィッツ監督作。観ておくと良いけど高値…。


非常に連想したアントワーン・フークア監督作。大好きです (°∀°)b オススメ!


映画の雰囲気的に連想したデビッド・エアー監督作。僕の感想はこんな感じ。


一応、映画版を貼っておきますよ。僕の感想はこんな感じ。







2020/06/06 22:00 | 映画(2020)TRACKBACK(0)  TOP

ボーダー 二つの世界(ネタバレ)

※本作は、ネタバレを知らないで観た方が絶対面白いものの、「観る人を選ぶ内容」のR18作品でもあるので、映画.comの説明などを読んで興味が湧いた方は、こんな駄文を読む前に映画を観てみて!










ボーダー 二つの世界

原題:Grans
2018/スウェーデン、デンマーク 上映時間110分
監督・脚本:アリ・アッバシ
製作:ニナ・ビスゴード、ペトラ・ヨンソン
製作総指揮:ミタ・ルイーズ・フォルデイガー・ソーレンセン、トマス・エスキルソン、ルイス・ティスネ、トマス・ガメルトフト
原作・脚本:ヨン・アイビデ・リンドクビスト 
脚本:イサベラ・エクルーフ
撮影:ナディーム・カールセン
美術:フリーダ・ホアス
衣装:エルサ・フィッシャー
編集:オリビア・ニーアガート=ホルム、アナス・シュコフ
音楽:クリストファー・ベリ、マーティン・ディルコフ 
出演:エバ・メランデル、エーロ・ミロノフ
パンフレット:★★★★(750円/3本のコラムはどれも良い感じながら、もっとネタバレ全開の作りでも良いと思うのです)
(あらすじ)
醜い容姿のせいで孤独と疎外感を抱える税関職員ティーナには、違法な物を持ち込む人間を嗅ぎ分けるという特殊能力があった。ある日、彼女は勤務中に奇妙な旅行者ボーレと出会う。ボーレに対し本能的に何かを感じたティーナは彼を自宅に招き、離れを宿泊先として提供する。次第にボーレに惹かれていくティーナだったが、ボーレにはティーナの出生にも関わる大きな秘密があった。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




80点


現在、愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」は、新型コロナウイルス云々のため、新作DVDBlu-rayウォッチメン」になってまして。本作が“今週の課題映画”になったということで、短めかつ適当な感想をアップしておきますね。「大好きな北欧ホラームービー『ぼくのエリ』の原作者ヨン・アイビデ・リンドクビストが原作&脚本を担当した」「ポスターの不穏な雰囲気」「捜査モノっぽい」ということで観る気マンマンでしてね。10月の公開日から2カ月経った12月19日(木)、キネカ大森で鑑賞いたしました。「こういう話!? Σ(゚д゚;)」とかなりビックリしましたよ。


3番スクリーン、 ほぼ満席でした。
3番スクリーン


原作者が「てめぇ、ブッ殺すぞ!( ゚д゚)」と怒りそうなほどにあらすじを雑に書いておきますと。スウェーデンの税関職員ティーナ(エバ・メランデル)は「罪のニオイ」を嗅ぎ取れる女和田アキ子さんが「希望のニオイ」を嗅ぎ取れるように…という無駄な文章)。自分の醜さにコンプレックスを抱きながらも仕事に精を出していたんですが、ある日、税関で児童ポルノを所持していたクズ野郎を発見したことで、児童ポルノ組織の捜査に協力することになりまして。それと同時期、税関で「何らかのニオイがプンプン漂うものの何も発見できない謎の旅人」ヴォーレ(エーロ・ミロノフ)と知り合って恋に落ちてみれば、なんと自分が「トロル」だったことが判明するのです!Σ(゚д゚;し ナンデスッテー


能力を買われて、警察に協力することになったティーナ。
罪を嗅ぎ取れます

そんな中、ヴォーレと出会って「本当の自分」を発見するのです。
ヴォーレとの出会い


ティーナは、トロル的には自分が男性であり、ヴォーレは女性であって子どもを産める…といったことなどを学びまして。ろくでなしの彼氏を家から追い出して、ヴォーレと充実したトロルライフを謳歌しようと思いきや! なんとヴォーレったら「トロルをほぼ絶滅に追い込んだ人間どもへの復讐」として児童ポルノ制作&人身売買組織の運営に携わっていたから、「マジか!Σ(゚д゚;し ナンデスッテー」と。同胞を見つけられたことはうれしいけど、どうしても悪を許せないティーナは警察と結託してヴォーレを追いつめると、ヴォーレはフェリーから海へダイブ! その後、ティーナは育ての親に自分のルーツや“本当の両親”が名付けた名前「レーヴァ」を教えてもらったり、死んだ同胞の墓参りをすると、彼女の元に「ヴォーレが生んだレーヴァとの赤子(たぶん)」と絵葉書が届いて、映画は終わってたんじゃないかしらん。


正義の心を持つトロル、ティーナ/レーヴァ。超カッコ良かったです… (´Д`;) ステキ
正義のトロル、ティーナ


ハッキリ言って、スゲー面白かった!ヽ(`Д´)ノ 僕的には、単に「超能力を持つ女性がおぞましい犯罪を捜査して…」的な話が繰り広げられるのかと思っていたら、「おとぎ話を現代風に解釈した物語」でもあり、「被差別者たちやアウトサイダーたちの反逆譚」でもあり、さらには「初めて大好きになった人が悪人でしたストーリー」だったりもしつつ何よりも「“本当の自分”を解放する映画」でもあったから(「アナと雪の女王」の12を足したような内容と言えなくもない)、本当に驚かされたというか。しかも、題材が「トロル」というのもツボで、「もし本当にトロルがいたら?」という作品では「トロールハンター」というモキュメンタリーが大大大大大大大好きなんですけど、本作はそれとはまた違った“リアルな切り口&解釈”が最高だったんですよね…(特に「取り替え子」がおぞましく描かれてたのが好き)。


この「取り替え子」描写、ちょっと怖かったです… ('A`) イヤーン
取り替え子


映画的にも地に足が着きながらも幻想的なビジュアルが良かったし、ティーナが向き合うことになる事件が最悪すぎるのもストライクだったし(「北欧の犯罪描写」って独特な冷たい雰囲気があって好き)、トロルを演じた2人ったら特殊メイクをしているにもかかわらず、見事な演技でしてね…(なんと2人とも役作りのため20キロも増量したとか!)。特に「森の中の全裸ダッシュ」はなかなかの名場面だと感心いたしました。なんて言うんですかね、僕の生涯ベスト絵本は「三びきのやぎのがらがらどん」でしてね。前は単にゴア描写とかエンタメ的に好きだったんですが、最近は少しトロルの心情に思いを馳せることも多くなっていただけに、本作でトロル側の視点を堪能できたのは、非常に良い映画体験でしたよ… (ノω・、) トロル...


僕はこの「肉片が渦巻くゴア描写」が大好きだったんですけど…(「三びきのやぎのがらがらどん」より)。
無惨に散るトロル

最近は、トロルはどんな気持ちだったのかを考えたりするのです(「三びきのやぎのがらがらどん」より)。
三びきのヤギのがらがらどん


鑑賞後、元になった短編小説を読んだんですが、よくまぁこんな話を映像化しようと思ったというか、見事に映像化したというか(原作者のヨン・アイビデ・リンドクビストも脚本に絡んでるそうな)。アリ・アッバシ監督の前作「Shelley」もホラーっぽい映画みたいですけど、ちょっと観たくなりましたよ。ただ、こんなにベタ褒めなのに80点なのは、生きたまま食べちゃうアグレッシ部すぎな昆虫食描写とか、トロル同士のセックス描写とかが生理的に超キツかったからーー (ノД`) アァン それ以外の部分は本当に面白かったし、僕的にはむしろトロル捜査官ティーナを主人公にした続編が観たいほどなんですけどねー。そんなワケで、チョキン、パチン、ストン。話はおしまい (・∀・) オシマイ




すでに配信されていて、ソフトも販売中なのです。
   


本作の元になった話が収められている短編集。面白いです。
 


ヨン・アイビデ・リンドクビストの有名な小説。僕は映画版の方が好きです (〃∇〃) スキヨ


僕が初めて「トロル」の存在を知った本。娘が芝居を演じた時の感想はこんな感じ。


トロルを狩るハンターのモキュメンタリー。僕の感想はこんな感じ。









2020/06/05 18:00 | 映画(2019)TRACKBACK(0)  TOP

37セカンズ 37seconds(ネタバレ)

37セカンズ 37seconds


37セカンズ

2019/日本、アメリカ 上映時間115分
監督・脚本・企画・プロデューサー:HIKARI
企画・プロデューサー:山口晋
エグゼクティブプロデューサー:住友大祐、山形龍司、中瀬古優一
シニアプロデューサー:土屋勝裕
共同プロデューサー:松平保久 淺見朋子
協力プロデューサー:柳本千晶、岩堀恭⼀、岩堀昭
ラインプロデューサー:小泉朋
撮影:江崎朋生、スティーブン・ブラハット
照明:三善章誉
録音:石貝洋
美術:宇山隆之
ヘアメイク:百瀬広美
スタイリスト:望月恵
編集:トーマス・A・クルーガー
音楽:アスカ・マツミヤ
挿入歌:CHAI
助監督:二宮孝平
VFXスパーバイザー:小坂一順
キャスティング:おおずさわこ
スクリプター:樽角みほり
制作担当:岡本健志
出演:佳山明、神野三鈴、大東駿介、渡辺真起子、熊篠慶彦、萩原みのり、芋生悠、渋川清彦、宇野祥平、奥野瑛太、石橋静河、尾美としのり、板谷由夏
パンフレット:★★★★(820円/関係者インタビューが充実。コラム2本も良かったです)
(あらすじ)
脳性麻痺の貴田夢馬(ユマ)は、異常なほどに過保護な母親のもとで車椅子生活を送りながら、漫画家のゴーストライターとして空想の世界を描き続けていた。自立するためアダルト漫画の執筆を望むユマだったが、リアルな性体験がないと良い漫画は描けないと言われてしまう。ユマの新しい友人で障がい者専門の娼婦である舞は、ユマに外の世界を見せる。しかし、それを知ったユマの母親が激怒してしまい……。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




95点


※本作については、すでに宇多丸師匠による的確かつ見事な時評がアップされているので、そっちを読んで!

「2020年2月公開で観たい映画の覚え書き」の「2/7〜8」のところに「10ミニッツ」はあるものの、本作を載せていないことからもお分かりのように、1ミリも興味がなかったというか。大体、何が37秒なのか知らないけどさ(苦笑)、障害者を描く映画なんて面倒くさそうだし、そんなの観る暇があるなら「どんな車でも60秒で盗み出す映画」とか「クズどもを19秒でブチ殺す映画」とか「スゴ腕スナイパー“2秒”に苦しめられる映画」でも観るし、超斬新なバンドデシネ「3秒」を読みますよって話。とはいえ、愛聴しているラジオ番組「アフター6ジャンクション」の週刊映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」の課題作品になったということで、2月20日(木)、「付き合いだしな (゚⊿゚) シカタネーナ」と新宿ピカデリーで鑑賞してきました。「なんという人材… (°д°;)」と思ったり。


自販機でドデカミンストロングを購入。
ドデカミン

9番スクリーン、観客は50人ぐらい。もち吉いなりあげもちのCMが超旨そうでした。
9番スクリーン

鑑賞後の僕の気持ちを代弁する寂海王を貼っておきますね(「刃牙道」より)。
なんという人材…


「えっ、そんな映画だったっけ!? Σ(゚д゚;)」と二度見されそうなレベルで雑なあらすじを書いておくと、主人公は脳性麻痺の貴田夢馬(ユマ/佳山明)。過保護な母親・恭子(神野三鈴)と暮らしながら、高校からの親友で漫画家のサヤカ(萩原みのり)のゴーストライターとして活動するも、なんとなく鬱屈するエブリデイ (´・ω・`し ウーン そこで、母&サヤカから自立すべくアダルト漫画を描いてみたら、敏腕ムードの編集者・藤本(板谷由夏)に「リアルな性体験がないとダメ絶対!m9`Д´し ビシッ」と指摘されてしまったので、いざ夜の歌舞伎町へ!川*゚∀゚)=3 ヤッチャオーゼ! 出張ホスト・ヒデ(奥野瑛太)との初セックスには失敗するも、障害者専門デリヘル嬢・舞(渡辺真起子)や介護福祉士・俊哉(大東駿介)と知り合って、毎日が充実し始めるんですが、しかし。

恭子にバレてしまって、あーだこーだと揉めると、ユマは逃走!川`Д´)ノ アバヨ! 俊哉の助けを借りて、幼い頃に別れた父親を探してみたり(すでに死亡)、タイで教師として働く双子の姉・由香(芋生悠)に会いに行ったりしましてね。「生まれる時に呼吸が37秒間止まっていたせいで脳性麻痺になったけれども、それが自分で良かったというか、自分が自分であることを誇る!Σ(°д° し クワッ!ってな調子で開眼したユマは、帰国すると母親とスムースに和解。そんな彼女があらためて描いた漫画は1ページ1ページがとてもふっくらツヤツヤしていたので、それを読んだ編集者・藤本ったら「面白い漫画を描く子がいるのよ (・∀・し イルノヨ」と知り合いの編集者に電話→なんとなく未来が明るいムードで終わってたような気がするね(突然、馴れ馴れしい文章)。


ということで聴いてください、K DUB SHINEさんで「ラストエンペラー」(ラジオパーソナリティ風の口調にドヤ顔を添えてーー)。




ハッキリ言って、素晴らしい作品でした。超良く出来ている上に面白くて、メッセージ性もしっかりしていて、「障害者の映画なんて面倒くさそう ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ」なんて心が狭いことを書いていた自分を恥じて、即座に舌を噛み切って死のうかと思いつつも遺される妻子の行方を案じて断念したほどでしたよ(面倒くさい文章)。まず、映画的なルックが良かった。母親が服を脱がしてお風呂に入るオープニングから「体が不自由な障害者のままならなさ」をサラリと描いていて、息を飲まざるを得ないというか。佳山明さんと神野三鈴さんが「お風呂に入るのだから脱いでますよ」と自然に裸を見せているのがまた偉いし(でも決してこれ見よがしではない)、この時点で「世界に通じる映画!Σ(゚д゚;)」って感心するほどでしたよ、マジで。


なんとなくHIKARI監督が撮ったCMを貼っておきますね↓




で、主人公が母親&サヤカによる日常の抑圧から解放される手段としての想像の世界をアニメーションで表現したり、その想像力の豊かさをビルの窓の明かりなどで見せたりとか、そういうのも本当に上手い。つーか、どうやらお父さんからもらったハガキ、お父さんへの想いとこの創作意欲っていうのが繋がっているんだ、というくだりをサラッと示す、本当に語り口のポップさ、そしてスマートさがね…という宇多丸師匠のPA-KU-RI!m9・∀・) ビシッ 今回が初めてという主演の佳山明さんの演技が100点というだけでなく、他の役者さんたちも素晴らしいし、非の打ちどころがゼロ状態。これが劇場長編作品デビュー作というHIKARI監督が逸材なだけでなく、僕的にはシンガポールと日本とフランスの合作映画「家族のレシピ」をプロデュースした山口晋さんが絡んでいるのも大きいんじゃないかと思ったり、思わなかったり (・ε・) ドッチダヨ


劇中で流れるアニメシーンを使ったMV。CHAIの曲も良いですな (´∀`) スキヨ




その他、思ったことを書いておくと、「佳山明さん、可愛いな… (´Д`;) ハァハァ」とか「ふとした会話や行動で母親の独善的な過保護振りを表していて上手い!」とか「サヤカがユマへのギャラをサッと減らすシーンがリアル」とか「サヤカ、討つべし!」とか「週刊のエロ漫画雑誌はないだろ」とか「サヤカが勝手に部屋に入ってくるシーンが苦手というか、体がままならないとプライバシーもないのね…」とか「サヤカの母親に引け目を感じている恭子の苦悩演技がイイ!」とか「ラーメンに、レモンを!? Σ(゚д゚;)」とか「大東俊介さん演じる俊哉が都合良い感じがしなくもないけど、逆にそういう優しい世界観という感じがしたので、まぁ、許す ( ´_ゝ`) エラソウ」とかとかとか。


ユマ役の佳山明さん、これからも頑張ってほしいですな。
佳山明


って、ベタ褒めですけれども、実は大きな不満があって。「サヤカが無惨な死を遂げなかった」というのは仕方ないとして(不要な文章)。まず、「ムービーウォッチメン」でリスナーの「たくや・かんだ」さんが指摘されていたように、僕も「性経験がないといい漫画が描けない」というのはどうかと思いました。確かに今から30年前のエロ漫画は女性器の位置が不自然な場所に描かれていたりすることがあって、「この作者は僕と同じく女性器を見た経験がないのだな… (ノω・、) グスン」と、そっと涙を流したりもしましたが、今どき映像やら情報やら作品やらが溢れているのだからノー問題じゃないですか。主人公を冒険に導くための「背中を押すひと言」だから仕方ないにせよ、今どきちょっと乱暴に感じました。

ただ、それ以上に納得がいかなかったのが、出張ホスト描写ですよ。ごめんなさい、僕はこういうのって全然知識がないんですけど(苦笑)、まず、この手の風俗は「プレイ前に客が料金を払う」のが大前提というか、B.B.クイーンズが「エジソンは偉い人」と歌うレベルに常識な話。そして「プレイ前に両者ともシャワーを浴びる&うがいをする」のが当たり前だし、大体「今どき客にキスをしない出張ホストなんているの?」って思うし…。シチュエーション自体は面白いし、奥野瑛太さんの演技も素晴らしかっただけに、ディテールにリアリティを感じなくてガッカリした…って、僕はこういうのって全然知識がないんですけどね (ノ∀`) テヘ


これらのことは北辰館の堤城平さんが指摘されてました…という雑なウソ(「餓狼伝」より)。
リアルじゃない


って、アホな文章を書いちゃいましたが(汗)、主人公は障害者ながらも誰にも当てはまる普遍的な自己肯定の映画であり、とはいえ、非常に面白くて感動する障害者映画でしたよ。今年は「だれもが愛しいチャンピオン」とか「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」とか障害者を扱った良作が多いですな。何はともあれ、これが長編デビュー作というHIKARI監督には「なんという人材… (°д°;)」と心底驚かされたというか、これからの活躍に期待しております。現在、Netflixで配信中なのでね、気になる人はぜひ観てみてくださいな。おしまい。




山口晋さんがプロデュースしたエリック・クー監督×斉藤工さん主演作。僕の感想はこんな感じ。


リリー・フランキーさん主演作。本作で「デリヘルの客」を演じた熊篠慶彦さんを描いた映画だとか。



なんとなく思いだした、とにかく評判の良い障害者映画。観なくては…。


障害者プロレスを扱ったドキュメンタリー。僕の感想はこんな感じ。


なんとなく貼ってみたニコラス・ケイジ主演作。パロディポルノの邦題は「69コカンズ」だったり (゚⊿゚) ナンダソリャ








2020/05/31 17:00 | 映画(2020)TRACKBACK(0)  TOP

前田建設ファンタジー営業部(ネタバレ)

※今回の記事は、本作や前田建設工業株式会社が好きな方は高確率で不快になると思うので、読まない方が良いです。








前田建設ファンタジー営業部

前田建設ファンタジー営業部

2020/日本 上映時間115分
監督:英勉
原作:前田建設工業株式会社、永井豪
脚本:上田誠
製作:川城和実、岐部一誠、有馬一昭、門田庄司、篠田学
エグゼクティブプロデューサー:濱田健二
企画・プロデュース:佐治幸宏
プロデューサー:森重宏美、西川朝子、坂口慎一郎
撮影:小松高志
Bカメラ:大嶋良教
照明:蒔苗友一郎
録音:加来昭彦
美術:金勝浩一
装飾:中澤正英
衣装:宮本茉莉
ヘアメイク:石邑麻由
編集:相良直一郎
音楽:坂本英城
音楽プロデューサー:佐藤純之介
音響効果:柴崎憲治
主題歌:氣志團
VFXスーパーバイザー:大萩真司
記録:松元景
助監督:富永拓輝
キャスティング:南谷夢
ラインプロデューサー:塚村悦郎
プロデューサー補:古市秀人
制作主任:浦野博士
出演:高杉真宙、上地雄輔、岸井ゆきの、本多力、町田啓太、山田純大、鈴木拓、水上剣星、高橋努、濱田マリ、鶴見辰吾、六角精児、小木博明、永井豪
パンフレット:★★★★(820円/「検討図」のデザインが素敵! キャラクター相関図とか土木解説用語とかのページもいいですな)
(あらすじ)
2003年、バブル崩壊後の建設業界。前田建設の広報グループ長は、「アニメ『マジンガーZ』の出撃シーンに登場する地下格納庫を現状の技術と材料で建設したらどうなるのか?」を検証するWEB連載を提案する。広報グループの若手社員・土井は嫌々ながらもプロジェクトに携わるうち、架空のものに対してどこまでも真剣に向き合う社内外の技術者たちの姿を目の当たりにし、意味のないことだと思っていた業務に本気で取り組むようになっていく。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓





50点


昨日は「AI崩壊」の記事をアップしたんですが、本日は同じ日に観た本作の感想を更新しておきますよ。本物の「前田建設ファンタジー事業部」自体は読んだこともあって好きだったけど、ごめんなさい、「これを映画化して面白くなるの? (・ε・) ドウナノ?」と思ったし、「映画に出てくるオタク」の描き方にイラッとすることが多いので、スルー予定だったんですけれども。愛聴しているラジオ番組「ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ」出演した時の高杉真宙さんがとても素敵でね…(しみじみ)。高杉真宙さんとは「仮面ライダー鎧武/ガイム」からの付き合いだし(※注 番組を観てただけです)、せっかく映画の宣伝のために出演したのだから観てあげようかなと思い立ち、仕事で徹夜明けの2月21日(金)、ユナイテッド・シネマ豊洲にて、会員サービスデーを利用して鑑賞いたしました(その後、「犬鳴村」「AI崩壊」をハシゴ)。「ワルい予感が当たった… (`Δ´;)」と思ったり。


サービスデーのおかげで映画代は3,300円で済んだというね。
サービスデーなので3300円!

4番スクリーン、
4番スクリーン

鑑賞中の僕の気持ちを代弁する範馬刃牙を貼っておきますね(「範馬刃牙」より)。
わるい予感が当たった


今から書く文章は、なかなか心が狭いというか、僕の小雨の日の水溜まりレベル並みに浅い政治的&社会的な思想なども垂れ流し状態になるので、そういうのが苦手な方は読まない方が良い…ということは伝えておきましょう(偉そうに)。まぁ、本作は“仕事モノ”でよくある「新人が最初はやる気がなかった or 舐めてたけど、少しずつ感化されて情熱的になって…」的なお話でしてね。こういうのって普通は主人公だけだったりするイメージですけど(「WOOD JOB! 神去なあなあ日常」とか)、本作はチームのメンバーが1人ずつ変わっていく分、“ダメチーム”モノ的な魅力もあった印象。一応、オチを書いておくと、いろいろな人の協力によって「マジンガーZ」の格納庫の見積は見事完成して、ネットにアップしたら大評判となり、最後はデスラー総統から仕事を依頼されて終わってたんじゃないかしらん。


エンドクレジットでは氣志團による主題歌が流れてましたよ↓




率直な感想を書くと、僕的には映画全体のノリが合わなかったというか。この冒頭映像をユニークだと思って楽しめる人なら良いんでしょうけど、僕的にはこの時点でキツかった。いや、すべて「わざと」なのは分かっているんです。「『架空の基地の見積を出す』というバカバカしいと笑われそうなことを情熱的に取り組む」というコメディなのだから、演出が過剰になったり、逆境に見舞われたりするのは仕方ないのかもしれませんが、でも、そのせいで元となった「前田建設ファンタジー事業部」の「スマートな面白さ」が消えちゃった印象。あえてこう書きますけど「たかが『架空の基地の見積を出す』程度のこと」じゃないですか。そこに主人公たちが情熱を燃やすのは良いとしても、他の部署の先輩が最初は非協力的だったりとか、プレッシャーを掛けてきたりとか、悪い意味でバカバカしかった…ってのは意地悪な文章ですかね。脚本を書いた上田誠さんのパンフ掲載のインタビューによると、元になった舞台はもっとのどかな雰囲気だったみたいで、僕はたぶんそっちの方が好みだった気がします。

というか、僕的に本作の前田建設はクソみたいな職場に見えましたよ。まず「会社の命令でボランティア」というのが最悪で、もしあの連載が本当に「上司の命令による無償行為」だったとするなら、スゲー嫌な職場だなと。しかも、劇中ではそれを命じる小木博明さんが「強引で暑苦しいけど実は良い上司」みたいな扱いをされているから「マジかよ (°д°;)」と。僕的には“昔ながらのパワハラ親父”に見えてとにかく不快であり、「実は陰で調整してた」みたいなシーンを美談っぽく描かれても、「そりゃあ、お前がタダ働きさせてんだからそのぐらいはやっとけよ ( ゚д゚)、ペッ」程度にしか思えなかった。他の部署が露骨にイヤミを言ってきたり(後で「良い人」になるにせよ、パワハラチックな職場環境なんだなと)、答えを出し渋るオヤジが出てきたりするのも不快というか、根回しもしねーのかよと。

これが若手社員の方から「やりましょうよ!」「勝手にやりますから!」とか言い出したなら話はべつ!というか、全然飲み込めたと思うんですけど(「周囲の抵抗」があるのもまだ分かる)、そうなると「やる気のない若手が仕事の面白さに気付いて〜」みたいな展開ができないから仕方ないんでしょうか。あと、他の男性社員たちは「仕事の魅力」だけで情熱的になっていくのに、 岸井ゆきのさん演じる女性社員だけ恋愛要素を絡めてくるのって、別に「ナシ」ではないものの、かなりモヤッとした…って、伝わりますかね。さらに驚いたのが女性社員への「頭ポンポン」で、これも信頼関係がある間柄なら別に「ナシ」ではないのかもしれませんが、ううむ、僕的にはいくら2003年が舞台でも「2020年公開の映画」として気持ち悪かったし(否定的に描くならともかくさぁ…)、前田建設のような大企業でも女性社員への対応は旧態依然なのかとガッカリしたし(試写で観た時に注意しなかったの?)、英勉監督の無神経さについては「そう言えば僕が大嫌いな『ハンサム★スーツ』を撮った人なんだよな」なんて思ったり。


「頭ポンポン」を観た時の僕の気持ちを代弁する範馬刃牙を貼っておきますね(「範馬刃牙」より)。
マジかよ…


ただ、好きなところもあるんですよ。各メンバーの担当ごとに観客に前田建設の業務が紹介されていく構成は非常にわかりやすかったし、オタク的な人の描き方も町田啓太さん演じるヤマダはスゲー良かった(逆に本多力さんが演じたチカダはステレオタイプすぎてイラッとした)。それと「マジンガーZ」絡みのシーンは全部良かった。世代的には少し前になるし、どちらかというと僕は「ジム・マジンガ」派なんですが、とはいえ、「マジンガーZ」が出てくると、それだけで「おおっ!(*゚∀゚)=3」とテンションが上がっちゃったのだから、さすがは永井豪先生、ですな(知った風な口で)。それと上に貼りましたが、エンドクレジットは非常に良い出来だと思いましたね〜。


ううむ、「マジンガーZ」はやっぱりカッコイイのです… (`Δ´;) オノレ...




そんなワケで、全体的には「ワルい予感」が的中してイラッとしたものの、サイトを立ち上げる時は実際に苦労したみたいだし、ゴールデンウィーク中に無料配信した姿勢には感心したし、「ダムを作る会社の映画」を観た後に「ダムに沈められた村の映画」を観たという流れも勝手に面白かったので、トータルすると50点という着地。つーか、ドリルジャンボとか長島ダムが出てくるシーンも最高だったので、僕的には“ちゃんとダムを作る「プロジェクトX」みたいな作品”が観られたら一番グッときたような気がするんですが、そうなったら間違いなく映画化されなかったでしょうな… (´・ω・`) ムズカシイ 何はともあれ、僕の心が狭いだけなのでね(苦笑)、気になる人は観れば良いし、前田建設も現実の世界で仕事を受注するために天下りの人を入れたり自民党への献金などを頑張ってくれれば良いと思います。おしまい。




ソフトは9月9日発売予定だそうです。


サントラを貼っておきますね。



ノベライズじゃないので注意。下請けをタダ働きさせてセクハラしたことが報道された社員がいる出版社が出しております。


英勉監督作は3本しか観てなかったんですが、一番嫌いじゃないのはこれかなー。









2020/05/30 15:00 | 映画(2020)TRACKBACK(0)  TOP